【メイSide】 うう…このままはどうだんを撃ってもぶんしんが過ぎるのは時間だけ……最悪は… 「…ルカリオ!ボーンラッシュ!」 近付いて攻撃を当てに行くしかない! 「ルォッ!ルオアッ!!!」 「「「ガッ……」」」 ポン!ポン! 「ルオオオオッ!!!!」 ポン!ポン!ポン!ポン!ポン! 庇いにきたぶんしんは全部吹き飛ばした!今度こそ! 「メイっぱい、ぶち込んで!」 「右!」 「ルガっ!」サッ!!! かわされた!けど、もう一発! 「右!」 「ルガっ!」サッ!!! 「ルオオオッ!」 「バックステップ!」 「ガルっ!!!」 ・・・ルカリオのボーンラッシュが、全部外れちゃった… キリヤさんが完全にルカリオの動きを見切ってた…ルガルガンもルカリオの動きよりキリヤさんの声を聞いて動いてたし… こんなすなあらしの中でルカリオの動きを読み切れるなんて…どんな目をしてるんですか… 【キリヤSide】 見える… 「右!」 「ルガっ!」サッ!!! 見える…! 「右!」 「ルガっ!」サッ!!! この1年間で鍛えたのはルガルガンのわざの使い方だけじゃない。俺自身の目も鍛えて来た。 俺はポケモンのスペックを上げる育て方は上手くない、そんな火力不足のポケモンで真正面からの力と力のぶつかり合いなんてしていたらいつまでも上には行けない。 だから、ポケモンの動きを見極める為の目を養った。ポケモンが、俺の声を信じてくれるようコミュニケーションも取った 「メタルクロー!」 「しゃがんでかみなりパンチ!」 「ルオオオッ!!!」 ブン! 俺の声が聞こえたと同時にしゃがむ。この連携に、どれだけバトルを積み重ねたか。ただのすならあしだけじゃない。洞窟の暗闇、真夜中の眠気、雨の中…あらゆる場面でバトルを重ね、いかなる状況でもポケモンの動きを見切る動体視力を手に入れた。ルガルガンも、俺の目を信じてくれている 「ワオオオオンンッ!!!」 ジジジジジ!! 「オァ……」 「はどうだん!」 「ガッ…」 ポン! 「ボーンラッシュ!」 「ルオオオオ!!!」 ポン!ポン!ポン! 「左へ避けてからかみなりパンチ!」 「ガル!」 ジジジジジ!! 「オァ……」ヨロッ 通用する。俺達の1年間は間違ってなかった! このまま時間をかけて、メイを追い詰める! 「…」キョロキョロ 視線が泳いできた 「…////」パッ! …手で股を押さえようとして、俺(男)の目を気にして触るのをやめたな。もう不自然な動きが増えて来てる。それでも、バレないようにしてるつもりならそれはもう無駄な努力だ。こっちはもうとっくにお前の弱点につけ込んだバトルをやってるんだよ! 「かげぶんしん!」 ドドドドン!!! 【メイSide】 ど、どうしよう……そろそろ本格的にトイレに行きたくなって来た…… 「かげぶんしん!」 ドドドドン!!! にも関わらずバトルはまだ続いてて…しかもまだアタシのジャローダ1体しか倒れてなくて…うう、フルバトルなんて受けなきゃ良かった… 「………メタルクロー!」 「左!」 ブン! 「右!」 ブン! 早くルガルガンを倒したいのに、完全に動きを読まれてるせいで攻撃が当たらない… 「ううう……」 「…随分と指示が単調じゃねえか。舐めてんのか?」 「…グロウパンチ」 「右へかわしてかみなりパンチ!」 「ルガアッ!!!」 ジジジジジ!! 「…それでも雑な指示なんだな。やる気なくなったってか?あ?」 ご、ごめんなさい!違うんです!トイレ我慢してるんです!やる気がない訳じゃないんです!ごめんなさーーーーーいっ!!! ……なんて心の中で思っても、口には出来ない。だって大声出したら絶対漏れるから… 【キリヤSide】 もうルカリオに技を命令するだけで精一杯のようだな。もう少し余裕があれば今の挑発に何か言い返せただろうけどそれが無かった。いよいよ限界が来てるなら、こっちも遊びは終わりにしてやろうか… (いいのか?まだ隠し球があるかもしれないぞ?) もう十分追い込んだ。とどめをさしてやってもいい頃だ (…もっと追い込めよ。それこそ精神が壊れるまで) ……そこまですることはないだろ? (ユイを凌駕するんだろ?それこそ、どんなことをしてでも) 「!」 ………そう、だったな 「かげぶんしん!」 ドドドドン!!! 「………テメーのやる気があるかどうかなんてもう関係ない。俺達のバトルを貫く。それだけだ」 「…ボーンラッシュ」 「ルオオオオオオォッ!」 「ガァ…」 ポン!ポン!ポン!ポン!ポン! ルカリオがルガルガンのぶんしん達を減らしていく。ぶんしんを沈める内に本体は距離を取る 「ハァ……ハァ……」 ダメージの蓄積と、消えないぶんしんを減らし続けたことで、ルカリオはすっかり疲弊していた 「…………は、どうだん」 「ル…オオッ!」 「がァァ…」 ポン! 身体は目に見えて疲弊してるルカリオだが、わざのキレは落ちてない。むしろ上がっているくらいだ。だがどれほどポケモンの集中力が上がっていたところで 「っ!」ギュッ!!!! 肝心のトレーナー(メイ)はもう、限界が迫っていたのであろう、前を押さえながらしゃがみこんでいた。もう立ってもいられないほどのようで、そんな状態で指示なんて出せるはずも無く… 【メイSide】 ……もうバトルに集中出来てないのが自分でもわかる。でも、我慢する以外アタシにはどうしようもなかった 男の子が見てる前で、恥ずかしい…顔が熱い… でも、そんなことで遠慮してたら、今すぐにでも出ちゃいそうで…息も苦しい… ジワァァ…… 駄目………まだ、出ないで……… ジョロ… 嫌…… じゅおおおおおおおおおおお!!!! 「ぁ……」 【キリヤSide】 「かみなりパンチ!」 「ガアアアアアッ!!!」 ジジジジジ!! スピードに乗って直進し、ルカリオの鼻へ真正面から稲妻の突きをぶちかます。 普通にやればこんなただの突き、避けられてカウンターを喰らうのが関の山だ。だが、メイの粗相によってルカリオは完全に動揺したていた。だから、直線上の動きでも簡単に当てることが出来た。 ポケモンバトルという競技においては、トレーナーの指示がなければポケモンは動きようがないからな 「」バタリ 「グス……ヒック…………」 ルカリオは倒れた。そしてメイは泣きじゃくっている。完全に戦意は喪失してるな… 「…行くぞ、ルガルガン」 「ガル」コクン (何も言わなくて良かったのか?) ルガルガンと共にクチバシティを去ってすぐのことだった (一言でも何か言えば良かったじゃないか) …勝者が敗者にかける言葉なんてあるかよ (あの元気印なら、放っておいたらまた次に会う時にはバトル出来る状態に回復してるかもよ) (そうならないよう、完全に折っておけば良かったのにな) ………俺はあくまでも、バトルに勝つ為手段を選ばないだけ。バトルの後なんて、どうだっていい (…まあ、それを決めるのはお前だ。判断は任せるさ) (けど、覚えておけよ。今日のバトルで、お前はもう後には戻れない、ってことをな) … 「ガル?」 「…なんでもない。進むぞ」 ………そう。俺にはもう進む以外の選択肢は残されてないんだ どんな奴が相手でも、俺は非情になって戦う 全ては、ユイを凌駕する為に… |