ここは人工島パシオ この島には、様々な場所から選ばれたポケモントレーナーが、自分を高める為に日々ポケモンバトルを、違う場所からやってきたポケモントレーナー達が仲良くなる為に遊んだりイベントに参加したりとしていた。 そんな、様々な人と人の交流が広がるパシオに、1つの小さな物語が…… キリヤ「クリスマスにプレゼントを届けるバイト?」 ユイ「うん!いつもパシオで頑張るいい子のポケモントレーナー達に、サンタさんからのプレゼントを!って思ってね♪」 雪が降る今日、布団から出るのがとても辛い朝の早い時間に、自分のライバル、ユイが部屋に来ていきなりそんなことを言い出した リーリエ「バイトなので勿論お金は出しますよ」 …どうやら、ユイの仲間であるリーリエも一緒みたいだ。 まあ、今は自分もユイの仲間みたいなところあるけど… キリヤ「…そういうのって、許可取らないと出来ないんじゃないの?」 ユイ「ライヤーさんから許可は取ってあるよ!」 リーリエ「スポンサーはエーテル財団です」 ユイ「そういう訳だからさ、キリヤくんバイトやって!」 キリヤ「…まあ、そういうことならいいよ」 ユイ「やったー!」 リーリエ「ありがとうございますキリヤさん!」 朝、一応起きてはいたけど布団と格闘(布団から出られないだけ)してる最中に、パシオでエーテル財団のイベントのバイトをすることになった キリヤ「なったはいいんだけど…これなに?」 ユイ「キリヤくんのバイトの衣装だよ」 リーリエ「サンタさんです!」 リーリエの手にはサンタクロースの衣装が用意されていた ・・・ミニスカートの、女物のサンタクロースの衣装が用意されていた キリヤ「…これ、女物だよね?」 ユイ「そうだよ」 キリヤ「…自分は男だよ?」 リーリエ「それがどうかしましたか?」 キリヤ「おかしくない?なんで女物のサンタクロースの衣装を用意してるの?」 ユイ「おかしくないよ!」 リーリエ「キリヤさんはお顔がとっても可愛いんですよ!だからミニスカサンタさんだって絶対に似合います!」 ユイ「そういう訳だから、You!恥なんて捨てて着ちゃいなYo!」 キリヤ「…やっぱ、バイトやめる」 リーリエ「あら…残念です…」 ユイ「バイトやめちゃうんじゃ、しょうがない…ピカチュウ10まんボルト」 ピカチュウ「ピーカー!チュウウッ!」 キリヤ「うおわっ!」 バイトをやめるって言った瞬間にユイはピカチュウに10まんボルトを指示してきた 寸前でなんとか電撃をかわせたけど…いきなり過ぎてビックリした… リーリエ「ルナアーラちゃん、シャドーレイです!」 ルナアーラ「マヒナペーアッ!!!」 キリヤ「お前もかあっ!」 なんと伝説のポケモンルナアーラで攻撃してくるとかいうとんでもないことをしてくるもこれもなんとか避ける… ユイ「捕まえた♪」ガシッ リーリエ「もう逃しませんよ♪」ガシッ 油断した…ポケモン達の攻撃に気を取られて、ユイとリーリエが回り込んでいたことに気付かなかった… キリヤ「ちょ、おま……は、はなせっ!」 必死で抵抗するも、見た目によらずこいつら結構力強くて…… ユイ「ふっふっふっ…バイトしてもしなくても、元からキリヤくんにミニスカサンタさんになって貰うつもりだったんだよ」 リーリエ「そういう訳ですから、女装しましょうキリヤさん♪」 ズルズルと…ユイとリーリエに連れられてサンタ衣装に着せ替えられてしまった メイ「あ、キリヤさん!話は聞いてますよ!アタシも今日サンタさんのバイトするんです!」 キリヤ「あ、そう…」 メイ「お仕事は外でやるみたいですから、今のうちからちゃんとお手洗いは済ませておきましょう!」 キリヤ「おー」 どうやら今日のバイトはメイと一緒にやるみたいだ。 バイトを断ったのに女装させられて、トランクスも脱がされて、下着まで女物一色になってしまった… バイトしてもしなくても元からクリスマスにサンタの女装させられることが規定路線だった以上、もうヤケクソでバイトをすることにした メイ「メリークリスマス!いい子のキミに、サンタさんからプレゼントです!」 たんぱんこぞう「ありがとー!」 キリヤ「いつも頑張る貴方に、サンタからのプレゼントです。これからも、頑張ってください」ニッコリ エリートトレーナーの男の子「は、はい…////」 無理矢理女装させられたので、最初テンションは結構下がっていたが、自分のセールスポイントは真面目さなので仕事は勿論真面目にこなした。例え女装サンタであろうと、仕事に私情は持ち込みませんとも! ユイ「ミニスカサンタさんになってバイトだからって割り切って笑顔でプレゼントを渡す真面目なところがいい!」パシャパシャパシャパシャ リーリエ「最高!最高すぎます!」パシャパシャパシャパシャ キリヤ「はーいそこ、撮影は禁止ですよー」 バイトの内容は、道行く通行人に笑顔でプレゼントを届けること。 商店街のマスコットが子供に風船あげる要領でサンタのコスプレした男女がプレゼントをあげてるこの仕事…なんというか、クリスマス感が全然ないけど… メイ「はい、プレゼント」 女の子「ありがとー♪」ニッコリ …まあ、この笑顔が見られるならバイトの内容なんて気にしなくていっか このパシオには、たくさんのポケモントレーナーが呼ばれている。呼ばれる条件はよくわからないが、呼ばれるのは何もいい子や素晴らしい方々、だけではない。悪い組織の人達も何故か呼ばれている ロケット団の下っ端「おい兄弟、俺にもプレゼントくれよ」 キリヤ「いい子じゃないからプレゼントはあげられませーん」 サンタはいい子にプレゼントを届けるのが仕事だ。怪しい大人にあげるプレゼントなんて1つもない ロケット団の下っ端「だったらよー、俺の誘いの答え聞かせてくれよ」 自分は過去に、ロケット団に来ないか、と誘われたことがあった。悪い奴らは許せない、けど、力にも魅力があって……答えはまだ出せてはいなかった… キリヤ「今はバイト中なので邪魔をしないでくださーい」 とりあえずこう言って誤魔化してみる ロケット団の下っ端「…いい返事待ってるからな」 どうやらこの場は大人しく引き下がってくれたようだ。街中で暴れられたりしたら色々大変だったので、正直助かった… メイ「ぷ、プレゼントでーす…」ソワソワ バイト開始から30分、雪は一層強くなり所々に雪が積もる箇所も増えてきた。 寒さもきつくなってきたので、ふとメイは大丈夫なのだろうか?女の子の方が身体は冷えやすいと聞いたことがあるので、メイのことをチラッと見てみると、頬が赤くなっていた。もしかして、体調を崩したか? ユイ「寒空の下で頬も鼻も耳までも赤くなってるキリヤくん色っぽいよー!」パシャパシャパシャパシャ リーリエ「最高!最高すぎます!」パシャパシャパシャパシャ キリヤ「だから写真…」 ……まあ、頬が赤いだけで体調不良だと決めつけるのは早計だよな。 とりあえず自分は相変わらず自分のことを撮り続ける盗撮犯2名に無駄だとわかっていながら一応は注意をしつつ、子供達にプレゼントを配っていた キリヤ「はい。プレゼントだよ」 キャンプボーイ「わーい!」 この時メイを無理矢理にでも休ませておけば、あんなことにはならなかったかもしれない…… メイ「メ、メリー…クリス、マス////………ふー////」 バイトから1時間、メイの様子がさっきよりおかしかった。呂律が回ってないし、息も苦しそうだ。これは流石に不味いな、と思った キリヤ「…メイ、少し休憩行ってこいよ」 メイ「へっ!?で、でもアタシ…まだ1時間しか…仕事…」 キリヤ「そんなしんどそうな表情してるのに1時間しかとか気にするなよ。お前の身体の方が大事に決まってるだろ?」 メイ「……じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて」 そう言ってメイが、手に持っているモンスターボールを観光客に渡してから休憩に…わざわざ渡そうとしなくてもすぐ休みに行けばいいのに律儀だな…とか思ってた瞬間だった ショロロロ〜〜〜 キリヤ「へ?」 リーリエ「め、メイさんっ!?」 休憩に行くよう言ってから、メイが………その………この時になってようやく、メイの様子がおかしい理由に気付き、そしてあの時、どうして自分はメイを休憩に行かせなかったのだろうか?そう後悔が押し寄せていた… ユイ「み、皆とりあえず離れて!リーリエ、メイちゃんを医務室に連れてって!私は水たまりの後始末するから、キリヤくんは仕事に集中して!」 キリヤ「あ、ああ…!」 先輩でありながら何も出来ずに立ち尽くしていたところに、ユイに仕事を再開するように指示してくれた。こういう時のこいつの判断力には本当に何度助けられたか… コン…コン… キリヤ「キリヤだけど、今入っていい?」 リーリエ「…」チラッ メイ「…」コクン リーリエ「…どうぞ」 キリヤ「し、失礼します…」 リーリエに確認取って、オーケーを貰ったので部屋に入る。 メイの顔を見ると、目元が赤くなっていた。 外に居た時は何があったのか把握できてないといった感じだったけど、医務室に着いてからなのかあるいは医務室に向かう途中か… 自分に起こったことを自覚して涙を流したのは明らかだった。 メイをこんな風にしてしまったのは自分だ。だから、自分が今言うべきことは… ここまで来たのは… メイ「あの…ごめんなs キリヤ「ごめん!」 頭を下げる。 今の自分に出来ることは、これしかなかった キリヤ「実はバイト始めて30分くらいだったかな?メイの頬が赤いな、体調悪いのかな?って思ったけど、この寒さだし別におかしなことじゃないか…って、今思えばあの時に休憩行って来いって言うべきだった。自分のせいで、本当、ごめん…!」 メイ「そんな…キリヤさんは何も悪くない、です………悪いのはアタシ…この歳にもなって、お手洗いに…行きたいって……いえ、な………かっ……」 メイ「……ぅ…うぅ…」 キリヤ「っ!」 自分のせいであんなことに…そう思ったから謝りに来たのに……謝った結果、自分はまたメイを泣かせてしまった… メイ「あ、キリヤさん!こんにちは!」 キリヤ「ああ。こんにちは」 クリスマスバイトから翌日、メイはすっかり元気になっていた。あんなことあったのに、1日で立ち直るなんて凄いな… キリヤ「…なあ、メイ」 元気になったメイに昨日のことを…聞くようなデリカシーに欠けるような真似は決してしない。昨日はわざわざ謝ってしまったせいで逆に泣かせてしまったから。なのでここは… キリヤ「ポケモンバトル、やろうか」 目と目が合えばポケモンバトル。それがポケモントレーナーという存在の宿命! メイ「いいですね!やりましょう!」 キリヤ「手加減しないからな!」 メイ「望むところです!」 これは、クリスマスに起こった1つの、小さな小さな物語! |