FBI物語 オリエンタルダスト編 episode4 1月2日 DEAニューヨーク本部 「どうだ、なんか手がかりはつかめたか?」 フローレンスは青い目をぎょろっと大きくしてマジックミラーに顔を近づけて、パブロ・ガルシアに聞いた。 男は両手を肩まで上げてあきれ顔で首を振った。 「シュナイダー捜査官、それがあの女、来てからずっと泣きじゃくって話にならんのですわ。同性の方がいいかと思って人当たりのいいマッケンジー捜査官を入れたのですが、彼女も手を焼いていますわ。本当に巻き込まれただけの女のようですね。」 ガルシア捜査官はそういって、マジックミラー越しに赤髪でくせ毛のリーナ・マッケンジー捜査官と初老の黒人捜査官、ヴィクトル・グレイによるマギーの取り調べを覗き込んだ。 フローレンスはひときわ厳しい目で取り調べ室を睨んだ。 「それにしてもおかしいと思わんか?あの女、死体から薬を盗んだと言っていたが、あんなに取り乱す女が、あのぐちゃぐちゃにミンチにされた死体から薬を奪えるか?何か裏があるぞ。」 フローレンスはそういって暖かいコーヒーを流し込んだ。 「まぁでもあの女、シュナイダー捜査官の取り調べにビビってション便漏らしたらしいじゃないですか、そんな女が事件の深いところにかかわれるとは思いませんがね…死体を見て動転していたとも言っていますし、人は動揺するとわけのわからん行動も起こすもんですよ、姉(あね)さん。」 「私はお前より、10歳も若い、姉さんはよせ。」 「すいません、と言いたいところですが、やっぱりあんたは姉(あね)さんですわぁ(笑)」 そう言って男は笑った。 取調室 「だから、私はひ、拾っただけなんです…目の前で人が殺されて…それで…それで…薬みたいだったから、お金になるかなと思って…えーん!」 マギー・フォックスはそういって端正な顔をゆがめて泣きじゃくった。 「それでもだ、薬、ドラッグだとわかって売りさばいては罪になるな…お嬢ちゃん。」 初老のグレイ捜査官は優しくマギーに声をかけた。 「ごめんさない、ごめんなさい…あああぁ…」 ちゅいーっ… 「あっ、この娘!もう!」 マッケンジー捜査官はすぐさま椅子を引いてマギーから離れた。 「ごめんなさい!ごめんなさい!」 マギーの椅子に黄色い尿が広がりスカートに包まれた丸い尻に大きなシミを広げていった。 そしてぴちゃぴちゃと床に黄色い水たまりを作っていった。 「もう!」 マッケンジーは頭を抱えて、マジックミラーを見た。 「ごめんなさい!ごめんなさい!」 マッケンジー捜査官は、泣きじゃくるマギーの肩にそっと手をかえた。 マギーはゆっくり椅子から立ち上がった。 漏らしてしまった尿が下着に貼りついて気持ち悪いのか、少し股を開いていた。 そして、その間からポタポタと黄色いしづくが落ち、尿の水たまりに波紋を広げた。 1月7日 マギー・フォックスの弁護士が、成人女性が失禁をするほどの取り調べをしたことが人権に問題があるということを訴え、結局彼女は拾得物の違法販売という軽犯罪で釈放をされた。 調べの結果、占いに訪れた客に、クシャトリアとは知らず薬を販売したということになった。 「におうな…」 フローレンスはつぶやいた。 「金銭目当ての犯行だとすると、先日のFBIを襲った浮浪者の一件の説明がつかない…。何せマギーは占いにきた客に薬を高く売ったというのだからな…マギーが1セントの得にもならない浮浪者に大事なクシャトリアを売るはずがない…では一体?それに彼女の失禁は事実だが弁護士の言い分も難癖だな。何かある。マギー自身なのか、それと別の何かなのか…わからん!」 ぶつぶつとつぶやくフローレンスにパブロが答えた。 「シュナイダー捜査官、最初の事件現場にマギーの目撃情報があっただけで、人違いなんですかね。それにシュナイダー捜査官の尋問にション便ちびるような女が『オリエンタル・ダスト』の黒幕の一味とは到底思えないですね。あの女、取り調べの最中もビビって何度もション便漏らしやがって…まぁでも若くてかわいいからちょっとムラムラしちまいましたがね(笑)」 「この変態!まぁお前の性癖は置いておいて、女は怖いぞ。平気で涙も流す。欺くためならション便くらいしてもおかしくねぇな。」 フローレンスはパブロの軽口に苛立った。 そして、フローレンスはDEAを出て、携帯を取り出した。 「よう、お前に頼りたくはないけど、こっちはお手あげだ。それでわかるな。」 「相変わらずね、フローレンス。それ以上はこの電話ではいいわ。こっちも察しはついてる。ここからは協業といきますか。まぁあなたとはあまり組みたくないけどね。」 「まぁそういうな。臭い中だろ(笑)」 その一言を聞いたルーシーの耳は真っ赤になった。 「もう、あれは若気のいたりよ!」 そう言ってルーシーは電話を切った。 |