「24時間テレビ?!トイレはお漏らしを救う」〜加納綾子初登場! CC 2019年5月31日 キャストラTV 役員会議室 「どうこの企画の総合司会、あなたに受けてもらいたいの」 明智光子がゆっくりと企画書を閉じ、加納綾子の目を見据えた。 ふーっとため息をつき、大きな目を見開き、少し大きめの口をぎゅっと閉じて、加納綾子はゆっくりと頷いた。 「ありがとう。この企画は、トイレに困る今の女性の苦しい状態を多くの人にわかってもらって、公衆トイレや女性が気軽使えるトイレをもっと増やしたいのよ。 そのために募金を集める番組をするの。その初代のメイン司会には、好感度NO.1、好きな女子アナNo,1を5年連続獲得し、殿堂入りしたカノパンこと加納綾子が欲しかったのよ。」 「そうですね。ここ数年、若い女性の失禁や夜尿症の比率が増えていると聞きます。実際、私も・・・」 加納綾子は、そう言って、少し厚みのある下唇を噛みしめ、頬を少し赤らめうつむいた。 「あれはカノちゃんが新人の頃だったわね。新人のカノちゃんが顔を真っ赤にしてロケ車から降りてきた日のことを覚えているわ・・・」 光子は遠くを見つめながらそうつぶやいた。 「私も、社会人になって、まさかおトイレが我慢できなくなるなんて、思ってもみませんでした。あの時のズボンの濡れた感じと恥ずかしさは今でも忘れないです。」 「そうね、残念ながら働く女性のトイレ事情は今も厳しく、あなたも知っての通り、内の人気女子アナ二人も、失敗してるわ・・・」 「そうですね。私は中継中でなかったので、放送されることはありませんでしたが、去年の和久さんのやつはかわいそうでしたね。おもらしをそのまま放送されましたからね。 また人気女子アナの御端希さんも何度かしっぱいしていると耳にしますし、数年前のサービスエリアの中継はかわいそうでしたね。 私はロケ車の中での失敗だったので、織田Dに怒られたくらいですが、2人は相当騒がれましたね・・・」 「そうね、でもあなたもロケ車から降りるところをパパラッチに狙われて、『キャストラTV 新人女子アナ カノパン お漏らし??』と週刊誌にでちゃったもんね」 「ええ、ズボンもシミもばっちり撮られて・・・・でもコーヒーを溢したと言い切りましたけどね・・・」 加納綾子は少しはにかんで、右手で耳に掛かる髪をかき上げた。 「ところで今回の企画は、オムツは着用していいんですか?」 綾子は真面目な顔つきで光子に聞いた。 光子は首を横に振った。 「我慢している女性を励ましてあげたいの。またお漏らししちゃった女性を励ましてあげたいの。だから、オムツはなしよ。」 「わかりました。24時間、なんとかトイレを我慢して総合司会を務めます!私が我慢することで多くの女性に勇気を与えられるならやります!」 加納綾子は透き通った目で言い切った。 その人懐っこく端正な顔立ちは一層美しく感じられた。 「ありがとう。万が一、途中で漏らしても、そのまま中継はつづけるわよ。いい?」 加納綾子はその言葉に一瞬、うつむいたがすぐに応えた。 「はい!やります。万一私がお漏らししても、それが今の女性の現状だとみんなにわかってもらえればいいです。恥ずかしいけど、この仕事、請けます!」 明智光子はそっと右手を差し出した。 加納綾子はそれに応え二人は握手をした。 「ところで、他の企画も教えてもらっていいですか?」 「ええ、今、決まっているのは24時間トイレ我慢マラソン。これは2年目の和久いずみにやらせるわ。彼女も去年の中継おもらしを相当悔しがっていたので、快く受けてくれたわ。 その中継には御端希をつかせるわ。 またお漏らし再現ドラマ。これはあなたの新人時代の中継おもらし事件を描くわ。主演は、人気の吉岡美咲さん。疑似のおしっこを使わず、撮影で本当におしっこをしてくるらしいの。若いけど、芝居には手を抜かないとの評判は本当ね。」 「さらに、海外中継も入れるわ、海外でのトイレ事情の中継に、真行寺クロエとイイペイコウを向かわせ、世界の取り組みを見るわ。 クリスマスの映画イベントで恥ずかしい思いをしたクレア・L・マスターソンさんとブレンダ・カラーさんにもインタビューさせるわ。」 綾子は光子の説明を聞きながら、企画書を眺めていた。 「企画書によると、聖黄研究所の臨床実験動画公開とありますが・・・これは?」 その言葉に光子は少し頬を赤らめた。 「それは、女性が尿をどれくらい我慢できるか、また失禁した場合、どうなるかを実験したの・・・私も参加したわ・・・被験者の顔にはモザイクをかけて個人情報は守ったうえで、これも深夜に放送するわ・・・」 「わかりました。本部長、本気なんですね、私も最後までおもらししないでいる自信はありませんが、がんばります。」 こうして、女性の尿失禁という社会問題に取り組む番組が始まった。 つづく。 |