キャストラウエスタンノワール アンカー財団編 第9話 ノーザン帝国 諜報部セルゲイ・コボルスキー大佐 ジャック・ローの宮殿 「それとノワール、プリンスト入っていいぞ。」 ジェネラル・ミッツがそういうと軍服を着た涼子とさやかが大きな扉を開けて入ってきた。 謁見室までの護衛として軍人に扮した二人が入ってきた。 ブレンダを見ると、さやかは堪らず肩からライフルを下し構えた。 「どけ!」 ブレンダとさやかの間にムラサメを構えて蓮美が入った。 ムラサメの怪しい光がさやかの目に入ったが、さやかの怒りが激しく、妖刀の魔力すら通じなかった。 「ブレンダ・カラー!」 そう叫んでさやかはライフルを構えたまま怒りに震えている。 涼子がさやかの後ろから近づいてきた。 「俺たちは賞金稼ぎだ。その女を殺しても何の得にもならん。それにそいつを殺せばアンカーのおっさんから残りの金はもらえなくなるぜ。」 そう言ってさやかの肩をたたいた。 「うっ、くっ、くっ・・・」 さやかは体を震わせていた。 それはブレンダへの怒りだけではなかった。 さやかは、先ほどのジャック・ローとのやり取りも当然聞こえており、信じていた男に裏切られたばかりか、名門の名を守るために組織のために死に物狂いでしてきたことがすべて敵工作員の手の平で泳がされていたことに気付き、そして恐怖に失禁すらしてしまい情けなく呆然と失禁した水たまりに腰を抜かしている弱弱しいブレンダの姿をみて、今までの怒りを素直にぶつけられなくなっていた苛立ちがあった。 しかし、さやか自身一番悔しかったのが、同じ女としてブレンダを憐れに思い始め、その感情が憎しみを消していくことであった。 それでもライフルは下せなかった。 ガチャ さやかのこめかみに黒いものが当たった。 「そいつを下せ、この女が死んだら、金がもらえないんだよ。お前がやる前に、お前をやるぜ!」 真意はわからないが涼子の目は本気だった。 そして目の前には蓮美がジリジリと間合いを詰めてきていた。 「いい加減!目を覚ませ!いつまで過去に引きずらている!この女にはもう殺す価値もないんだよ!」 バーン! そう言って涼子は引き金を引いた。 涼子しかできない芸当だが、1mm 程度の眼帯の紐をかすめて弾丸を飛ばした。 さやかの眼帯がはじけ飛んだ。 さやかはゆっくりと左の目を開いた。 8年間光を失っていた目にはうっすらと光が差し、ぼんやりと輪郭をつかんでいった。 そして両目でしっかりブレンダを捉えた。 そのブレンダの表情は8年前の処刑場とは別人のように思えた。 何かに追い立てられるような厳しい顔をしたブレンダはそこにはおらず、少女ののように無防備な表情をするブレンダがいた。 がっちゃ・・・ さやかはライフルを下した。 それを見て蓮美も刀を鞘に納めた。 「それでは、セルゲイ・コボルスキーとブレンダ・カラーを国家騒乱罪およびスパイ防止法違反、そして軍規律違反により逮捕する。」 そういうとリッチミニスター(豊臣)少佐はジャック・ローの切られた手の処置をし、蓮美大尉とアヤ少尉はブレンダの汚れた服を着替えさせた。 ジャック・ローの宮殿前通り 「閣下!この度はありがとうございます!」 クレア大尉が敬礼をしてジェネラル・ミッツを迎えた。 その後ろにはリッチミニスター(豊臣)少佐とアヤ少尉に連行されるジャック・ロー。そして蓮美大尉に肩を抱えられるブレンダ・カラー、その後ろに涼子と両目を開いたさやかがいた。 またその両側を守るように駐屯軍の配備の憲兵隊が銃剣をもって立っていた。 「さやか!」 「さかや!」 なびきと詩織は両目を開いたさかやに驚いていた。 しかしジャック・ローが、一人の憲兵の前を通り過ぎようとしたとき、その憲兵が銃剣でジャック・ローに襲いかかってきた。 ジャック・ローと憲兵の間にいたアヤ少尉の顔面にその銃剣の矛先が飛んできた。 「ひっ!」 びゅっ! バーンっ! すんでのところで銃剣は蓮美大尉のムラサメによって弾き飛ばされ、アヤ少尉の右頬をかすめ、ジャック・ローの太い左腕に刺さって止まった。 そしてその憲兵は後ろにいた涼子によってこめかみを撃ちぬかれて死んだ。 ★ 「はぁ、はぁ、はぁ・・・」 チョロチョロ・・・ アヤ少尉は真っ青な顔で立っていた。 そして彼女の足元にはぴちゃぴちゃと雫落ち、彼女の股間はじんわり丸くシミになっていった。 アヤ少尉は股間の温もりを感じゆっくりと自分の股間をみるとそこには恥ずかしいシミが広がっていた。 「イヤ!」 顔を真っ赤にして、足をクロスし両手で濡れた部分を隠した。 この辺りはまだ18歳の女子である。 ★ 「どうやら俺は祖国にも見捨てられたみたいだな・・・」 ジャック・ローはそうつぶやいた。 おそらく憲兵隊に潜り込んだ帝国の工作員だったのだろう、そしてその工作員は敵の手に落ちたジャック・ローの暗殺を狙った、しかも自分の命も顧みず・・・これが意味することはジャック・ローいやセルゲイ・コボルスキーに未来はないということだった。 「将軍閣下、俺も軍人なんでな。楽しかったぜ!」 ジャック・ローはそういうと奥歯を噛んだ。 ゴリっという音が聞こえたかと思うと、彼は何かを飲み込んだ。 「しまった!」 リッチミニスター(豊臣)少佐が慌てて彼の口の中に手を突っ込んだが、ジャック・ローは真っ青な顔になり、泡を吹いて死んでしまった。 「青酸カリか・・・ボタンなどに忍ばせることはあるが、奥歯に忍ばせるとは・・・」 リッチミニスター(豊臣)少佐は苦虫を嚙み潰したような表情になった。 「いつも奥歯には入れておらんだろう・・・今回の件で最悪の事態を想定して奥歯にいれたんだろうな。我々の負けだと少佐。」 ジェネラル・ミッツは淡々と伝え、ブレンダ・カラーを連行していった。 アヤ少尉は失禁し尻にもシミを作り、歩きにくそうにアンカー財団の方へ向かって行った。 続く |