キャストラウエスタン ノワール 第5話 決戦@ 「保安官!大変だ!」 一人の男が血相を変えて保安官のオフィスに飛び込んできた。 男はぜぇぜぇと息を切らしながら、言葉をつづけた。 男はアンジェリカが保安官補であることを知っていたが、呼称などどうでもよかった。 「ほ、保安官!レッド・コブラが大勢でブルーオアシスに向かってるぜ!もうじきに着いちまう。今から軍を呼んでも間に合わねぇ。いくらあんたが凄腕でも、50〜60人はいたぜ。もう無理だ!町ごとやられちまう!」 男はそう言って、自分の家の方向に走っていった。 保安官の家には、涼子と荒野のガーディアンエンジェルスが居合わせた。 「しゃーねーな。これも腐れ縁だ。今回は私たちも手伝うよ。」 さやかはそう言って笑った、そして、その横でぷるぷるっと詩織が震えた。 怪訝な顔でアンジェリカは詩織をみた。 「うん?詩織、またちびったか?」 さやかの声が聞こえた。涼子はそのやり取りを見て笑っていた。 「い、いやこれは武者震いです。もうちびったりはしません!」 詩織は顔を赤らめて語気を強めていった。 「詩織は、大きな戦いになると興奮なのか、恐怖なのか小便をちびっちまう癖があってな(笑)」 涼子が冷やかしながら言った。 「だから!もうおチビリの癖は治りました!今のは本当に武者震いです!」 「もう皆さん、その辺にして、早く向かいましょう。」 なびきがやわらかい口調で場をおさめた。 さやかはカウボーイハットをかぶり、狙撃しやすい街で一番高い建物である時計台へ向かった。 保安官補のアンジェリカは町に危険を知らせる警鐘を鳴らした。 カーン!カーン!カーン! 町全体に鐘の音が響いた。 それぞれの家や店は一斉に窓や扉を閉め、にぎやかだった町は人っ子一人通らなくなった。 涼子とアンジェリカ、詩織、なびきは町の入り口へ向かった。そして町の門を閉ざし、門の近くの井戸の陰に身を潜めた。 町長の家 「あなた・・・」 心配そうなティアラ。その脇で佑香がガタガタと震えおびえていた。 「大丈夫。お前たちは私が守る!」 そう言ってショットガンを手にするユキチだった。 そして数名の用心棒に指示を与え、家の守りを固めた。 「お、お父さん・・・」 この前の恐怖がまだ焼き付いているのだろうか、佑香はガタガタと震えながらまた失禁をしていた。 「佑香、大丈夫だ。お父さんが守ってやる。」 そういって震える佑香の肩とティアラを抱き寄せた。 佑香は恐怖で涙ぐんでいた。 ミゾレの店 「絶対、あいつら許さない!例のモノ用意できている?」 ミゾレはレイカとマユミに声をかけた。 「ちょうど100本くらいで来ているわ!」 レイカが応えた。 「すぐにカートに積んで時計台に向かうわよ。この町じゃあの時計台が一番高い!いくよ!」 「おいおい、俺も行くぞ!」 ケツがショットガンをもって現れた。 弾薬もたっぷり両肩にかけていた。 「この前の借りを俺も返してやるぞ!アンジェリカだけに重荷を背負わせちゃ男が廃るぜ!」 ミゾレはそういうのと車輪のついたカートに瓶が入ったケースを素早く積み込み、四人で店を出て時計台に向かった。 町の時計台 ミゾレたちが時計台につき、時計塔の最上階につくとさやかがライフルを構えていた。 「あなたは確かパブの・・・ミゾレさん?・・・・どうしたんです?」 さやかが聞いた。 「あんな奴らに私たちの町を好き勝手させてたまるものですか!私たちも戦います!」 ミゾレはそう言い切った。 「でもあんたたちがどうやって?」 さやかは心配そうに聞いた。 「じゃーん!これです!」 マユミは持ってきた火炎瓶を見せた。 「アルコールで作った火炎瓶です。やつらが入ってきたら時計台の上からこれを落としてやります!」 レイカがそう続けた。 ケツは時計台の入り口に作ったバリケードに身を隠し、レッド・コブラの襲撃に備えた。 そして準備が整い町には静寂だけが広がった。 地平線に馬に乗った男たちが大勢やってきた。 後ろの方には大きな馬車もある。 間違いなくレッド・コブラの軍勢だった。 「来たわ!」 さやかがライフルを構えながら大きな声をあげた。 しかし、いくらライフルと言っても射程距離ではなかった。 その声が聞こえていたかのように一斉に押し寄せる軍勢とゆっくり迫る馬車、そしてその馬車の隣に一騎のガンマンがいた。 町の門 軍勢は門の手前で止まり、馬車の到着を待った。 そして馬車の幌をまくり上げると、大型の回転速射砲が門に狙いを付けていた。 その速射砲の隣には無精ひげを蓄えた長身細身の黒髪の男がいた。それは、まさにグレッグだった。 そしてその速射砲を両手でコントロールする若い女性が砲座に座っていた。 「ぶっ殺してやる!」 その若い女が声をあげると速射砲を撃ち始めた。 バリっバリっバリっ! 雷のような音が響き木製の門はあっという間にハチの巣になってしまった。 そして男たちが一気に押し寄せてきた。 「ひっ!」 時計台はまだ距離はあると言っても、速射砲の音や男たちの怒号は聞こえた。一番年端の行かないマユミはその音と迫り来る男たちにおののき声をあげ震えだした。 じゅわっ・・・ マユミは下着に広がる生暖かいものを感じた。 そしてそれは彼女の白い太ももに二筋ほどの水流を作って床に落ちた。 「マユミ!生き残りたければしっかりしなさい!」 いつも優しいミゾレから檄が飛んだ。 マユミはハッと我に返り火炎瓶を握りしめた。 下着は少量の失禁で気持ち悪かったが、目の前に敵に集中することで其の気持ち悪さを忘れられた。 「涼子の首を獲ったものには100万ドル!欲しい奴は命を懸けろ!後の女は好きなようにもてあそべ!」 そう言いながら一気になだれ込んでくる男たちだった。 しかし、門で待ち構えていた涼子、アンジェリカ、なびき、詩織が確実に仕留めて侵入を必死で食い止めていた。 しかし圧倒的に数的な不利な涼子たちは徐々に押され始めていた。 「こいつら命がいらねーのか!」 涼子は撃っても、撃っても進撃してくるレッド・コブラの雑魚に手を焼き始めていた。 弾を補充する間に一気に詰め寄ってくるレッド・コブラの雑魚たち。 よく見ると目は血走り、正気ではなかった。 「こいつらラリってる!」 アンジェリカが叫んだ! 「こいつら何か薬をやっています!前に見たことがあります!この目は正常じゃない!」 「なんて奴らだ。自分の手下を薬漬けにして自分たちの盾にする気か・・・」 涼子はいらだった。 「弾も切れてきた!こうなったら時計台下まで引き付けて火炎瓶で攻撃するぞ!入り口は俺とアンで持ちこたえる!詩織となびきは時計台まで敵を引き連れて向かえ!」 涼子はみんなに声をかけ、詩織となびきに後退を命じた。 詩織となびきは一気に時計台に向かって走り始めた。 わき目もふらず二人を追いかける男たちを後ろから涼子たちは撃ち落とし、数を減らした。 それにもかかわらず、二人に群がるように正気を失った男たちはついって行った。 しばらく走り続け、もうすぐ時計台というところで、気のゆるみがあったのだろうか、なびきは首に投げ輪をかけられてしまったのだ。 「うっ!」 なびきはピストルを落とし、締め付けられる縄に必死に抵抗したが、男が絞める縄にそう簡単に抵抗できず、徐々に息が苦しくなってきた。 詩織は助けようとショットガンを構えるが、何人も雪崩のように男たちがやってきて縄もった男を射程に入れられなかった。 バーン!カチャ! バーン!カチャ! 「くそ、キリがない!なびき!」 詩織は慌ててショットガンの弾を詰め替えたが囲まれてしまった。 なびきをつないでいる男はその縄を2階から掛かっている酒屋の看板にひっかけなびきをつるし上げた。軽々となびき体が宙に浮いた。 「うっ!」なびきは苦しそうな声をあげた。 「なびき!」詩織は声をあげたが自分も大勢の男に囲まれていた。 時計台の窓の反対側で時計台の誰もが二人に気付いていなかった。 男たちがなびきの下に群がった。 「おー、早くおろせ!やりてー!」 「たまんねー」 と男たちはなびきの真下に立ち、吊るされたなびきを見上げていた。 白い太ももと白い下着を眺めて男たちは興奮状態に入っていた。 「苦しい・・・」 なびきは徐々に意識が遠のいていった。 全身の力が抜けるような感覚になった。 そしてその時、なびきの括約筋は弛緩した。 チョロ・・・チョロ・・・ポタポタ・・・。 つるし上げられたなびきは酸欠状態になり、尿失禁をしてしまった。 「苦しい……」01 「うぅ……」02 「…………」03 見上げる男たちの目には、白い下着が黄色く染まり、白く美しい太ももに幾筋もの黄色い尿が流れるのが映った。 「ひゃー!ション便だ!」 「この女、ション便しやがった!」 口々に騒ぎ出す男たち、そして詩織もショットガンを撃ち抵抗したが、弾が切れてしまった。 「万事休す・・・・」 詩織は半ばあきらめそうになった時、複数の銃声と怒号が聞こえてきた。 町の方から、大勢の人たちが銃をとり駆け付けてきていた。 「ブルーオアシスは私たちの町だ!みんなで守るぞ!」ユキチ町長が先頭に立ちレッド・コブラに立ち向かっていった。 縄を持った男も誰かの銃弾に倒れ、なびきは地面にたたきつけられた。 慌てて駆け寄る詩織。 「なびき!なびき!」 必死でなびきを呼ぶ詩織。 そこえ、古いライフルを持ったモーリー先生とイズミが現れた。 モーリー先生はすぐに脈をとり、イズミに指示を出した。 「脈は正常!イズミさん、気付け薬をください!」 モーリー先生の指示に素早く応じ、鞄から気付け薬だした。 モーリー先生はなびきにそれを嗅がすと、なびきはゲホゲホと言いながら目を覚ました。 「手荒なことをして申し訳ない!ここを切り抜けましょう!」 モーリー先生はそういうとなびきを立たせ町の中へ引き返そうとした。 しかし、なびきはその手を振り払った。 「先生!時計台に!仲間がいます!そこまで敵を引き付けてください!」 モーリー先生はなびきのその言葉を受け止め、皆に指示を出した。 その指示はユキチ町長まで伝わり、時計台へとゆっくりと後退していった。 一方、門の前では、すべてのレッド・コブラの雑魚を一掃し、グレッグと速射砲に乗るとび色の髪をした女、そして同じ髪の色をもつ白人の男の3人がこちらを見ていた。 その白人の男は、ジェイクだった。 ジェイクの顔には深いしわが刻まれ、この2年で相当老け込んだように思われた。 「ジェイク・・・」 アンジェリカは悲しそうな目でジェイクを見つめていた。 「アン、私情は挟むな!死ぬぞ!」 涼子がひときわ厳しい言葉で伝えた。 町の時計台 「ユキチ町長!」 時計台の窓からミゾレはユキチ町長の姿をみて火炎瓶の準備を始めた。 「町長!はやくこっちへ!」 ミゾレの声に反応し、前を見るとバリケードからケツが手招きをしていた。 ユキチたちは時計台の下に作られたバリケードに身を隠し迎撃態勢をとった。 レッド・コブラの男たちが狭い道を一気に押し寄せてきた。 「よし!」 さやかはそういうと正確な射撃で一人一人撃ちぬいていった。 「よ〜し!行くよ!」 「ハイ!」 ミゾレの掛け声に、マユミとレイカが応え、すぐさま火炎瓶を投げ始めた。 「乙女に恥をかかせたバツよ!」 マユミは両手に火炎瓶を持ち、迫り来るレッド・コブラの軍勢にたたきつけた。 狭い道での火炎瓶は効果的でレッド・コブラの軍勢も進撃ができなくなっていた。 その軍勢に対して、後ろから発砲するものがいた。 モーリー先生、なびき、詩織だった。 「かわいそう・・・」 なびきは薬漬けになって自分の意志なく戦うレッド・コブラの男たちに憐れみの感情を抱いていた。 「なびきさん!今は自分が生き残ることを考えてください!」 モーリー先生はなびきに檄を飛ばした。 時計台からの射撃と火炎瓶、後方からの銃撃と挟み撃ちにあったレッド・コブラの一味たち。 そして間もなくレッド・コブラの一味は全滅した。 続く |