TAXI DRIVER‘S SIDE あれは去年の5月ごろだった。 雨上がりに六本木から西麻布で中年カップルを下した後、渋谷で終電に乗り遅れた客でも拾おうかと思って青山通りに向かって走っていた。 平日の深夜、夕方の大雨ということもあってか人の気配もない静かな都心の夜だった。 青山霊園の前を抜け、青山通りにぬけようと車を進めていると、ヘッドライトに白いものが反射した。 よく見ると濡れた髪で顔はよく見えなかったが、華奢な腕を上にあげて白いワンピースを来た若い女が立っていた。 私は奇妙に思ったが、どうせ渋谷にでも行く女だろうと思い車を止めた。 止めた場所が青山霊園の前で濡れ髪の色白女。 少し気持ち悪かったがそういうのは信じないタイプなのでいつものように仕事を始めた。 「どちらまで?」 「駒沢大学の方まで、お願いします」 女はか細く消え入るような声で告げた。 よく見ると唇は真っ青で体は小さく震えていた。 日中は暑いくらいの日もあるが、まだ5月。ノースリーブのワンピースは寒いだろう。 しかしなぜ?その不自然さに嫌な感覚がした。 「お客さん、大丈夫ですか?寒そうですが・・・」 私は少し不安になり、声をかけて会話で恐怖を紛らわせようとした。 しかしその女は俯いたまま寒そうに震えていた。 会話のないまま車を走らせる。 そして駒沢公園に差し掛かった時、 「すいません、少し止めてもらっていいですか・・・」 「ええ、いいですが、もうすぐですよ。」 「ごめんなさい、どうしても降りたいの・・・」 女は消えるような声で言った。 その震えるさみしそうな声に背筋がぞくっとした。 異常な気持ち悪さを感じた私は駒沢公園の側に車を止めた。 「すぐ戻りますから・・・」 女は公園の中に足早に向かった。 先ほどは髪しか濡れていなかったが、ワンピースも濡れているようで、スカートの裾から水も滴っていた。 「えっ!」 私は驚き、後部座席を見ると、シートはぐっしょりと濡れていた。 「ひっ!」 私はパニックになり、車を出し、猛スピードで走らせた。 Girl’s SIDE 「詩織、しっかりしないさいよ!」 さやかがなびきに次のカクテルを差し出し、声をかけた。 「でも、でも・・・」 「そうそう、付き合ってわけじゃないんでしょ。そんなのフラれた内に入らないわよ。」 続けて詩織が口をはさんだ。 目をはらして半泣きのなびき。 大好きな人に彼女がいたらしく、今日はその慰め会とのことで詩織、なびき、さやかの三人で青山のとあるバーで飲んでいた。 失恋のさみしさを紛らせたいなびきとただ飲みたいだけの詩織とさやか。 お酒のペースは速く、すっかり出来上がっていた。 「泣くな!ヒィっく。わらしらち(私たち)が付いてるのら〜」 すっかり出来上がっているさやか。 何をするかと思えば、シャンパンを思いっきりふり、なびきの顔面にシャンパンシャワーを浴びせかけた。 「そうよ、なびき、そんな男、シャンパンと一緒に流しちゃえ〜、いえーい。」 「ありがとう、ヒィっく。あ〜ん、もう上着までぬれちゃったよ〜。」 といってなびきはワンピースの上に羽織っていたダブルのライダースジャケットを脱いだ。 しばらく3人のバカ騒ぎが続いた。 「うっ、きもちわりゅい・・・吐きたい・・・と、トイレ。」 足をふらつかせながらなびきはトイレに向かおうとしたが、 「にゃびき〜、さやか、オシッコ行きたい」 「わらしも〜オシッコ〜」と詩織が続けた。 そして、さやかが先にトイレに入ってしまった。 個人経営の小さなバーだ。トイレは一つしかない。 「気持ちわりゅい〜、マスターごめん、外で吐いてくりゅ〜」 なびきは足元をふらつかせながら店を出て人気のない小道で嘔吐した。 嘔吐した後、頭がくらくらと周りだし、寒気がしてきた。 頭も冷静に働かない。 「おうち、帰りゅ〜、ヒィック!」 何処をどう歩いたのか、わからないがすっかり道にも迷ってしまった。 雨上がりの5月の深夜、さすがにワンピース一枚では寒い。 ガタガタと震えもきだした。そして大量にアルコールを飲んでいるせいか猛烈な尿意も襲ってきた。 そんな時、まぶしいヘッドライトがなびきを照らした。 「おうち、帰りゅ・・・おちっこ・・・」 と幼児のようなつぶやきをしながらおもむろに右手を挙げた。 なびきはタクシーに乗りこみ、行き先を告げた。 タクシーの運転手は何か話しかけてきたが、頭痛・寒気そして猛烈な尿意で頭はぼーっとしており、ただ震えてうつむいていた。 しばらくすると気持ち悪さ以上に尿意が強くなってきた、しかし酔っていて我慢ができない。 しゅーーーーっ。 駒沢公園の近くでなびきの下着に生暖かい尿が広がった。 「はっ!」 なびきは一瞬我に返った。 そして、必死に漏れ出す尿を止めた。 しかし相当の尿が漏れていた。 なびきは尻に生暖かい不快感を感じて焦った。 そんなとき、ちょうど駒沢公園が見えた。 そして駒沢公園のトイレで用を足そうと 「すいません、少し止めてもらっていいですか・・・」 と恥ずかしさと気持ち悪さを必死に堪えていった。 「ええ、いいですが、もうすぐですよ。」 タクシーの運転手が不審に思っていると感じたがこれ以上、尿意を我慢することはできずに続けて言った。 「ごめんなさい、どうしても降りたいの・・・」 そしてタクシーのドアが開くと、 「すぐ戻りますから・・・」 そう言って、慌てて公園のトイレに向かった。 「あ〜、あの運転手さんにおもらししたのバレたかな・・・」 と赤面しながらトイレに向かったが、酔っぱらっていてうまく力が入らず、歩きながら尿はどんどん流れてきていた。 そしてスカートの裾からポタポタと雫が垂れてきた。 公衆トイレについたころにはほとんどの尿を漏らした後だった。 「はぁ・・・」 ため息をつきながら公衆トイレにしゃがみ放尿をした。 しゅーーーーっ。 酒を飲み溜まった尿が大陰唇の間から次々と飛び出してきた。 残尿を処理し、タクシーに戻ったなびきだがそこにタクシーはなかった。 怪訝な顔をしながらてくてくと失禁で濡れたワンピースのケツを振りながら、自宅マンションまで帰るなびき出会った。 |