※この物語はイラスト・マンガ第124話の後の物語である。





メグミ 「さ〜て…これは本気で困ったぞ…」

佑香 「うん…どうしよっか…」

美雪、愛子 「うん…?何悩んでるの?二人とも」



ここは美黄流女子高等学校。

1年の校舎で物語りは始まる…。





いきつけで常連にもなっているライヴハウス「クジンシーロフト」。

バンド「ポテトチップ」夏の陣恒例ライヴは毎年欠かさず行っているイベントだが
ちょっぴり困ったことが起きた。

もちろんメグミのバンドは人気が有り優先でスタジオを提供してくれるのだが
ハウス側の手違いで予定していた日が全てアマチュアバンドで埋まってしまい
メグミ達の都合が合う日にライヴができなくなってしまったのだ。

その日を逃すとメンバー各々予定が入っているため夏のライヴは中止になり
すでに宣伝を打っているメグミには大きな痛手となる。

急遽ハウス側からメグミに連絡が入ったばかりでその旨をみんなに伝える。

もちろんこの時期のライヴハウスはどこも予約で一杯だった…。


愛子 「えっ!?クジンシーロフトだめになったん? なんでよぅ〜!」


メグミ 「むぅ〜…店長申し訳なさそうに謝ってたし、まあしょうがないよ。
別の手を考えようか…」



美雪 「…………もしかしたら…。 彼らに相談してみよっか?」



3人 「彼ら…?」



美雪 「うん!」








※都内にあるお寺「潜龍寺」

潜龍路一家が住むお寺で誠哲(じょうてつ)住職は真剣に台帳を見つめていた。
そんな誠哲に息子の次男坊、蓮昇(れんしょう)が話しかける。


誠哲 「う〜〜〜〜ん……」

蓮昇 「ん? 親父、どしたの珍しく悩み事…?」



誠哲 「ああ。最近どうも若者が寺にあまり訪れなくてな…。
何かここで一つ若者の心を掴む様な行事があれば良いのだが…」

蓮昇 「ふ〜ん… お祭りの場所提供だけじゃ寂しいもんね」

誠哲 「年配の参拝も嬉しいのだがこのご時勢、やはり寺を守るためには何か手を打たんとな…」

蓮昇 「ところで兄キは何て言ってるの…?」

誠哲 「斬哲(ざんてつ)か? あいつは本堂にパソコンを並べて飲み物無料で提供したらいいと言ってる。
蓮美は小さな子供を預かって託児所を開設希望している…。あいつは子供好きだからな…」



誠哲 「まあ二人の気持ちも分からんでもないが…」


蓮昇 「そっかぁ… 有名人でも呼べたら「箔」が付いて有名になるんだけどねぇ うちの寺も…」

誠哲 「まあ何でもいい。お前も案があったら教えてくれ」








※とある喫茶店

谷 「ライヴが出来るような場所を探して欲しいの…?」

植木 「あぁ、ならいい場所あるよ、先輩の家お寺であの広さなら人集められるよ」



4人は小、中学生と同じクラスメイトであった植木、谷に広い場所が無いか
相談したところ彼らの先輩にあたる蓮昇のお寺を紹介したのであった。


メグミ 「あーあの時の学祭の先輩の? あん時は会話しなかったけどあの人の家、
    お寺やってんだ? へぇー… いい先輩持ってんねぇ 君たち」



そう、以前に植木、谷の学園祭にメグミ、佑香、美雪、愛子が誘われて彼らのブースを
見学した時、その受付をしていたのが蓮昇である。


美雪 「でも彼、すぐ出て行っちゃったんだよね… まあ植木君、谷君!
    その先輩に頼んでもらえるかな!頼みますっ!」



佑香 (………………あの受付だった方のおウチ、お寺なんだ……)








※ハイウェイコンピューター専門高等学院

蓮昇、植木、谷が通うコンピュータ専門学校。
IT、プログラム、デザイン、Web、ゲーム作家、など幅広いパソコン関連の学校だ。
蓮昇の後輩 植木、谷が相談を持ちかける。


蓮昇 「うん? お寺の広場を使わせて欲しい…?」

植木 「ええ、中学の友人がコンサートしたいらしくて相談を受けまして」

蓮昇 「ふむー… なかなか頑張る女の子達じゃないか」

谷 「この間の学祭で来たあの子達ですよ、蓮昇先輩」

蓮昇 「……なぬっ!? あの子達か! あの子ら、バンド組んでいるのか?」

植木 「ええ、メグミっていうやんちゃな女の子がいるんですがそいつがリーダーで」


谷 「中でも佑香ちゃんっていう女の子が一番目立ってて可愛いですよ!」


蓮昇 (佑香…? 佑香!! やはり間違いなかったんだ あの子佑香ちゃんじゃないか!)


植木 「あれ…?どうしました…?蓮昇先輩…」








※潜龍路

誠哲 「ほぅ〜〜〜コンサートライヴか…… 悪くないぞ、その行事は」

蓮昇 「え! じゃあOKって事で大丈夫!? ありがと!親父!」

誠哲 「ああ、十分に使ったれぃ! ワシが許可する!」

蓮昇 (佑香さん…… 今バンド組んでいるんだ…… 成長したなぁ…)

誠哲 「都合の良い日に一度その子達をここに招き入れるが良い。段取りを話そうじゃないか」

蓮昇 「え… あ… うん 伝えておくよ〜」








※とある喫茶店

佑香 「え! OK!? ありがとう〜!植木クン 谷クン!!」

谷 「良かったね佑香〜 足もすっかり良くなったみたいだしさ、演奏観たいよ♪」

メグミ 「やるじゃないか!植木と谷!チケット無料でくれてやるぞ!」

美雪 「ありがとうね!」

植木 「お前たち、どこまで弾けるのか知らないが応援してやるよ」

愛子 「や〜ねぇ〜…おしっこ見張り番だったチミタチ、出世したわねぇ〜むふふ…」

植木 「でな、一度先輩のお父さんが段取り決めたいそうだからお前たちいつ都合大丈夫?」

メグミ 「ふむ、なら今週の土曜日、お昼にお伺いする事を伝えてくれ」

3人 「うん、今週の土曜お昼なら大丈夫だよ〜」








こうしてポテトチップ夏の陣ライヴは今までのライヴハウスとは違う「対バン」ではない。

ついに単独ライヴとして潜龍寺主催野外コンサートの幕を開けるのであった…!



そして…

佑香の「ある一つの記憶」が蘇りつつある物語となるのである……。















打ち合わせのため日を改めてメグミ達4人は植木、谷と一緒に潜龍寺に訪れた。



美雪 「あれ、ここのお寺って毎年お祭りしてるとこじゃないの?」

谷 「そそ、美雪達も何度も来たことあると思うよ〜」

メグミ 「このお寺だったのか〜… とうもろこしが抜群にウマイんだよなー 気に入った!」


年に一度、夏に潜龍寺では屋台やお守りグッズなどを販売し賑わいを伴うお祭りを行っていた。

だがお祭りの時とはうって変わって物静かな境内。人が居ないせいか広く感じ
4人はキョロキョロと見渡していた。


メグミ 「うん… この広さなら全然いけるね」

植木 「先輩もう待っているから中に入ろうか」



※ガラガラガラ…

木製の枠にガラスがはめ込んである玄関扉を引くと田舎ならではの古めかしい音がした。




植木、 「こーんにちはぁ〜〜〜!」


しばらくすると奥からギシリギシリと蓮昇と蓮昇の姉蓮美(はすみ)が出てきた。


蓮昇 「お〜よく来たねいらっしゃい〜」

佑香 「初めまして蓮美お姉ちゃん」



蓮昇 「!」 蓮美 「!」


蓮美 「っと… 初めまして〜いらっしゃいお姉さん方〜」


蓮昇 「え…えっと、学園祭ぶりだね〜あの時はブース遊びに来てくれてありがとう
恵さん、美雪さん、んと愛子さん、 ……佑香…さん」



メグミ 「植木、谷から聞きました。本当に有難う御座います!」


蓮昇 「いえいえ〜親父も何かやりたいみたいな事言ってたしさ
頑張って成功させよう!」



4人 「はいっ!」


蓮美 「んと、じゃあ広間に行こうか〜ジュースでも飲みながら打ち合わせしましょう
ささ、遠慮なく上がって〜 こちらよ」





愛子 「ほへ〜… お寺がおウチだなんて初めて入ったなぁ〜」

蓮美 「愛子ちゃんだっけ…? 昼間はいいけど夜は怖いぞ〜 ふふ」

愛子 「や…やだなぁ…う…うふふ」

佑香 (………………え…?)


無意識に今の会話に反応する佑香。奥の…心の奥の何かが一瞬だけざわついた気がした…。







蓮昇、蓮美に案内され6人はその後を付いていく。




※ギシリギシリ… ギシリギシリ…




美雪 「ねね、ゆかっち…」

そんな中少し小さめの声で佑香に話しかける美雪。
つられて佑香も小声で話し返す。

佑香 「ん…?なに美雪ちゃん」

美雪 「あのお姉さん、ゆかっちの知り合い…?」

佑香 「え…? そんなわけないよ〜だって初めて会うよ?」

美雪 「え、でもゆかっち名前呼んでたよ?「蓮美お姉ちゃん」 って…」

佑香 「言ってた…?気のせいじゃないかな…?」

美雪 「気のせいだったのかな…? そか、ごめんねゆかっち」



佑香 「あ、そこ右曲がればトイレだからね」


美雪 「へ…!?」




※ギシリギシリ… ギシリギシリ…




メグミ 「どんなライヴになるのか楽しみだな〜」

愛子 「入場制とは違って一般のお客さんも来るからね〜ドキドキだね!」




※ギシリギシリ… ギシリギシリ…




蓮美が蓮昇に美雪のように小声で話しかけた。



蓮美 「ねぇ、レン。もしかしてだけど…あの娘ひょっとして…?」


蓮昇 「うん、そうだよ間違いないよ多分。いや、間違いないね」

蓮昇 「学園祭で会った時はまあお互い大きくなってるから気づかなかったかもしれないけど
このお寺を見ても反応もないし、僕にも懐かしい眼差しじゃなく初めまして。みたいな眼差しだったから…。
……どうやら僕への記憶が無いみたいなんだ…」



蓮美 「でも私の名前を言ったよね?」

蓮昇 「うん…でも蓮姉の事覚えていたのなら「初めまして」じゃなく「お久しぶりです」だと思うんだ。
なのに蓮姉にも初めましてと言ってたからあの出来事全部覚えてないかもしれない…」



蓮昇 「でも蓮姉の名前は出てきたのに僕の事は…。」


蓮美 「不思議な事もあるもんだねぇ… やっぱりあの時の出来事が物凄く恥ずかしかったから…
人ってあまりにも恥ずかしい体験すると忘れる機能が働き本当に忘れちゃう事あるみたいだよ」



蓮昇 「うーん…でもそれはそれで…ちょっぴり悲しいよね…はは」


蓮美 「でも良かったじゃない〜レン!あの娘に再び逢えてさ 御仏の御縁だよ!がんばれ!」


蓮昇 「な…っ!? 何言ってんだよ蓮姉〜…」


蓮美 「うふふふ…(佑香ちゃんのお尻…可愛かったなぁ〜… ア…アソコも…)」




蓮美 「さ、着いたよ〜 適当に座ってね 今飲み物とお父さん呼んでくるね」


6人 「はぁ〜い」






しばらくすると一際大きな足音が聞こえてきた



※ギシリッ! ギシリッ! キシ…





誠哲 「おおう〜〜〜!! よく参られた!」

蓮枝 「この度は有難うね、ゆっくりしていってちょうだいネ」




あまりの風貌で息を飲む4人…だがそう言えばお祭りで監視するように立ってる住職さんだ!と
ちょっぴり安心感が戻る。そして皆軽く自己紹介をした後、誠哲が口を開く。






誠哲 「さて、ではさっそくプランを聞かせて欲しい」

メグミ 「はい、私達が演奏する音楽を提供したいと思います」


こうして潜龍路家とポテトチップの打ち合わせは始まった。
開始時間の打ち合わせ、演奏にかかる時間、機材や予算、屋台などの出店許可などなど。


メグミ 「開始は18時ジャストがいいと思います。」


愛子 「演奏時間は2時間がちょうどいいよね、新曲も5曲以上あるし〜」


誠哲 「屋台の手続きや会場の整備などはワシが引き受けよう」


美雪 「お父さんがお客さんにタダで配る特製ケーキ200個用意してくれるって」


佑香 「機材に関しては私のお父様の機材を使わせて頂く事になりました
接続などの音響は特別に音楽スタッフ、ステージ組み立てなどの舞台スタッフそれぞれを
呼んでくれる事になりましたからセッティングに関しては問題ありません」


メグミ 「おお〜すごいじゃん!ゆかっち!」

誠哲 「なんと…!手際の良いご尊父をお持ちなんですな…佑香殿、美雪殿」


チケット制度は廃止。その代わり屋台で売り上げた金額の何%かを
メグミ達にギャランティーとして渡すことで可決。あとは事前に用意したCDが何枚売れるかで
さらにメグミ達の売り上げに繋がる。毎年行われる潜龍寺のお祭りと一緒にやっちゃえば!?という
蓮昇の案は却下。(誠哲いわく別々で行ったほうが「おいしい」との考え)

全ての打ち合わせが終わり皆誠哲直々に成功祈願を受けた後

解散となった。


誠哲 「では各々…抜かりなく!」





蓮昇 「やっぱり最後まで僕の名前は呼んでくれなかったなぁ…」

蓮美 「大丈夫よ、本当に記憶喪失なら時間かければ治るっていうしネ」





そして…





ついに潜龍寺ポテトチップライヴの日がやってきた…!




















第150話 「潜龍寺ポテトチップライヴ!」 後半

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投稿者:ほろほろさん











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