

「ふーっ、お腹いっぱいになりましたね。」
夕食が終わり、徳川は満腹といった表情を浮かべた。
そして、おもむろにしゃべりだした。
「このロッジから車ですぐの神社って、結構出るらしいですよ・・・お化け・・・」
「出たね、夏休みお決まりの怪談話(笑)」
さやかは茶化した。
「まぁ、そんなところでしょうが、結構出るらしいですよ、この辺・・・」
そして徳川は話をつづけた。
「昔はこのあたりいい波が立っていて、サーフスポットだったらしいんですよ。
そのころ話なんですがね・・・」
急にトーンを落とす徳川。
ゴクリと唾を飲み込む詩織。
「1970年代後半ごろと聞いているんですが、このビーチは若者であふれていたらしいです。
まぁでも若者同士によくある恋愛感情のもつれというやつから殺人事件があったらしいんですよ。」
「男が一夜の恋と思って抱いたのに、女は本気になっちゃったってヤツみたいで・・・、
しつこく付きまとう女性に腹を立てた、その男の彼女がサーフィンの最中、事故に見せかけて、
その浮気相手の女を殺したらしいんですよ。」
「ひどいー。」なびきはほほを膨らませた。
かまわず徳川は話をつづけた。
「ここで話が終わるならまだ普通なんですが・・・性懲りもなくというか、いい根性しているというか、
そのカップルは翌年またここにサーフィンしに来たらしいですんよ。ホント、無神経ですよね。」
「そして二人がエッチをしていると、ずぶ濡れの女が現れ、
『いっしょに行こう・・・』と声をかけてきたらしいです。」
「『バカヤロー、お、お前はもう死んでんだよ!』と男はその女に言い放つと
『みんなで行こう・・・』とこっちを見て悲しい表情でそういったそうです。
そして、次の瞬間、急に二人は息ができなくなり、そのまま息を引き取ったらしいです。」
「翌日の現場検証でさらに不思議なことが・・・・」
ゴクリ・・・詩織は大きく唾を飲み込んだ。
「(どうしよ・・・夜、トイレいけない・・・)」
そう頭の中でつぶやいた。
怖がる詩織を一瞥し、徳川はさらに続けた。
「それが、どういうわけか部屋がびしょぬれで、
さらにその二人の司法解剖の結果わかったことは・・・」
「わかったことは?」
今度は夢野が食いついた。
「わかったことは、なんと溺死だったんです・・・肺には大量の海水が入っていたらしいです・・・
部屋の中でSEXして溺死?そんなのありえないですね。
それからこのロッジでエッチする人がいなくなったとか・・・それを乗り越える愛があるか試してみるとか、
内の社内ではいろんな噂話が流れたそうです(笑)」
「まぁ、夏を盛り上げる作り話だと思いますけどね、
私の先輩でこの話を口実にこのロッジに彼女を連れてきて、
エッチして死ななかったから結婚を申し込んだとか、
バカみたいな話が結構ありますよ(笑)」
「でも、女の人が死んだって、本当?」なびきは徳川に聞いた。
「殺人事件とかは嘘みたいですけど・・・、ただこの辺りは昔、本当に波が高かったらしく、
結構何人もサーフィン中の事故でなくっているらしいですね。
だからこんな噂がたつと思うんですが・・・」
「ところで、せっかく話も盛り上がったし、神社で肝試ししません?」
徳川は嬉しそう夢野に問いかけた。
「いいけど、5人で行ってもこわくないよなぁ」と夢野が言った。
「そこでなんですが、その神社、縁結びの神様でも有名なんですよ・・・
私とさやかちゃんとなびきちゃんで先に言って仕掛け作っておきますので、
詩織さんと後から来てくださいよ。吊り橋効果って知ってます、
恐怖のどきどきを恋愛のどきどきと勘違いするあれです。せっかくだから、二人を急接近させますよ」
徳川は得意げに語り始めた。
「いいよ、そんなことしなくても(笑)」
そういう夢野の横で顔を赤らめる詩織。とても初々しく可愛かった。
そして、徳川の提案にのり、神社で肝試しをすることになった。
詩織と夢野は仕掛けが終わったらなびきが迎えにくることになり、詩織と夢野はロッジに残った。
ドキドキ。
「・・・・なんか二人きりになると照れますね・・・」
「そ、そうだね、あっテレビ見る?」
そう言って落ち着きなくリモコンに手を伸ばしテレビを付けた。
ぎこちない時間が30分ほど流れたころ・・・
パチっ、パチっと天井の方で音がし出した。
「えっ!」二人はその音に戸惑った。
目を合わせる二人。
「あ、イヤだな、ゆ、夢野さん、ラップ現象なんてないですよ・・・、
こ、これは昼間暖められた金属が冷えて縮んだときにその摩擦で、
お、音がしてるだけです。前、番組で聞いたことがあります。」
明らかに怖がっている詩織だったが、科学的に説明することでその恐怖をごまかそうしていた。
「そ、そうだね。」夢野はソファーに座ったまま、隣で震える詩織の肩をそっと抱いた。
「夢野さん・・・」
ザーッ
うっとりしそうな二人だったが、TVが急に砂嵐になり、びっくりして立ち上がった。
夢野はテレビに近づき、リモコンやらスイッチやらを押すが全く反応しない。
「ゆ、夢野さん、き、きっと故障です・・・そうです、故障ですよ。」
詩織の顔は蒼白となり、引きつっていた。
「あ、あぁそうだね、故障だね。」と優しく答える夢野だが、彼にも恐怖の色が出ていた。
ドクンッ、ドクンッ、ドクンッ。
詩織は自分の鼓動が大きく、そして早くなるのを感じていた。
彼女は失禁しそうなくらいに怖くて堪らなかった。
「おかしいなぁ」とTVを見る夢野、そんなのはいいから早くそばに来て言う顔で夢野を見る詩織、
その時。
バシャ!
「キャーッ」
電気が急に切れた。詩織はたまらず夢野側に駆け寄った。
夢野はぎゅっと詩織の手を握った。
そして
『・・・いっしょに行こう・・・』
「えっ!」
心臓が飛び出そうなほどびっくりする二人・・・部屋に女の声が聞こえた。
そして次の瞬間、窓ガラスにずぶ濡れの女の顔が映った。
「ギャーッ!」
詩織は絶叫し、膝の力が抜け、腰が砕けるように尻もちをついた。
詩織のあまりの驚きようにびっくりしたのか、
「ごめん、詩織、ちょっとやりすぎた!」
電気が点け、なびき、徳川が慌てて部屋に入ってきた。
そして、遅れてずぶ濡れの髪をしたさやかが入ってきた。
三人の顔を見て、一瞬、訳が分からなくなったが、どっきりだっと安心し安堵の表情を浮かべる詩織だった。
しかし、極限の恐怖のあとの安堵感は、詩織の尿道括約筋を緩めた。
そして、ゆるゆると生暖かいものが股間に広がり、尻もちをついた尻に広がって行った。
ミニスカートで尻もちをついていたので、
白い下着から黄色い尿がゆるゆると流れ出ていくのが克明に見えた。
「詩織さん!」
夢野は心配そうに詩織に声をかけた。
ちゅいーーーーっ。
静かなロッジの室内に響き渡る20歳の女子の放尿音。
「夢野さん・・・私・・・」
「怖かったね・・・いいんだよ全部出して」
01 決壊… 02 戻る
夢野はそっと詩織を抱き寄せた。
「詩織・・・ごめん!」、「詩織さんごめんなさい!」
さやか、なびき、徳川は平謝りだった。
「本当にごめんなさい、ここまで怖がると思ってなくて悪ノリしました!」
土下座する徳川。
「ごめん、詩織。二人がなんかまどろっこしいから、余計なおせっかいで
吊り橋理論を使って仲良くなってもらおうとおもったの・・・本当にごめん!」
話を聞くと、二人の仲を近づけようと、女子2人の提案に徳川がテレビマンとして頑張りすぎたようで、
会社の特殊効果に使う機械を用いて迫力満点の仕掛けをしたようだった。
神社での仕掛けはブラフで、このロッジに恐怖の仕掛けをしていたのだった。
「ひどーい、でももういいよ。お化けはいなかったし・・・でも焼肉10回おごりで!」
詩織は涙目で笑った。
「肝試しがリアルすぎたね。僕たちはTV局に努めてるからこういうことすると本当に怖いね(笑)。」
夢野も許してくれているようだ。
「詩織さん、立てます?」
「はい・・・」そう言うと夢野の手を握りゆっくりと立ち上がった。
スカートに溜まった尿が一気に太ももに伝わって流れた。
「気持ち悪い・・・」
「お風呂行こうか・・・」
「うん。」
二人はそのまま浴室に向かった。
「なびき・・・今、二人で・・・」
「さやかちゃん・・・今、詩織、夢野さんとお風呂・・・」
なびきは顔を赤らめたが、次のようにつづけた。
「なんか、私も守ってくれる人が欲しくなってきちゃった・・・」
その声に反応する徳川・・・なびきその反応に気付き、慌てて首を横に振り「違う違う」をアピールした。
ガックシおちる徳川・・・
その日の夜は、詩織は女子部屋ではなく夢野と一緒の部屋で寝た。
徳川は二人のためにリビングで寝たようだ。
そして翌朝、二人の部屋はなぜか水浸しで、幽霊がでたと恥ずかしそうに言い訳する詩織がいた。

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投稿者:Lemon Juiceさん


