※がやがや… がやがや…

※わいわい… わいわい…



一足早く楽屋と言えるほどではない小さな待機場で4人は出番を待っていた。

外の賑わいがほぼ筒抜けで待機場に聞こえてくる。


愛子 「わぁ〜…お客、思った以上にいるよ〜…」

メグミ 「そりゃそうさ、参拝客とか一般のお客さんもいるからね」



現時刻 17時45分。

すでにステージの前にはお客がたこ焼きやカキ氷など食べながら待っている。

そして少し遠くから蓮美と蓮昇もステージを見つめていた。



スタッフ 「あと5分で登場してくださいね〜」

美雪 「ひ〜〜 なんかスタジオより緊張するね〜!前座とかないもんね〜!」

佑香 「うんうん! のど乾いちゃうよ〜 ※ゴク!ゴク!」


暑さと緊張で美味しく飲み物がのどを通る。


スタッフ 「佑香お嬢、頑張ってくださいよ!」

佑香 「うん!ありがとう!」



















スタッフ 「時間でーす! ではポテトチップ様!宜しくお願いしまーす!」


メグミ 「よしっ! 行くよっ!!」


美雪、佑香、愛子 「おお〜〜〜〜うっ!!」










手前の小さな階段を上りステージにメグミが始めに顔を出した。

次に佑香、美雪、愛子 と登場しさらに声援はポテトチップに向けられた!



※ワァーー!! ※ウォーーー!! ※待ってましたーー!





メグミ 「さあ! 潜龍寺ライヴ、開幕だよっ!!」




蓮昇 「あ、始まるみたいだよ!」

蓮美 「うん。 佑香ちゃん大人になったわね〜…」


メグミのMCでお客を煽る。
さすがに数をこなしているボーカルにはこの手の「ノリ」はお手のモノ。

演奏は今か今かと待っているお客にちょっぴり間を置き… 一斉に楽器が鳴り始めた!


蓮昇 「おお!始まった! すっげー!」

蓮美 「わぁ〜ホントにすごいね!プロの演奏聞いているみたい…」


まずは新曲を披露してその後はファンなら誰でも知ってるメジャーな曲で場を熱くさせる!
曲間に一言二言MCを入れ客の笑いなんかも誘いメグミ得意のフレンドリー感を与える。


※ゆ〜〜うかぁ〜〜〜!!  ※あいこぉ〜〜〜〜!!


もう少し穏やかな客層になるかと思ったが従来のファンが熱すぎて
思わず一般客や参拝客、家族連れなどもノリノリな楽曲で気分もハイになってきた。

そんな熱気と雰囲気で蓮昇や蓮美も身体が自然に動き出す。



蓮美 「あん〜!これいい曲ね〜〜!!やばい、すっごい好きかもっ!」




だがそんな演奏者の中に「おしっこ」を我慢している女性がいた……。




そう、ギター担当の佑香である。




佑香 (うっく… どうしよう… 明らかに…強くなってる… ん…)



演奏前の大量の水分は基本あまり摂ってはいけない。

だが真夏の野外ライブ、夜とは言え気温30度近くになるため
熱中症対策に水分を多めに摂る。しかも緊張のためさらに多くの水分を必要とする。

ライブハウスなら専用トイレも充実していて何の問題もないのだが
一般客と同じトイレだと混雑に巻き込まれる可能性があるため
事前のトイレも容易ではなくライヴに挑んだ4人。

水分を多く摂った佑香が一番初めに
その「尿意」という魔物に捕まってしまったのだ…。







そんな事も知らずメグミは佑香をソロパートで煽る。


メグミ 「ギタ〜〜! ゆうか、かきゅうせ〜い!」


※わぁーー! ※わぁーーー!



佑香 「今日はとことん盛り上がろ〜〜っ!!」


激しく弾くギターに下半身の力が入る!


佑香 (……!)


そしてソロが終わると歌い出すメグミ。

まだ我慢できる範囲なのだが今のソロで……

少々漏れた。

パンツの中に広がる温かさが佑香をそう気づかせた。


佑香 (やだっ… バ…バレちゃうよ… ど…どうしよう…!)


そんな佑香も30分我慢した頃、ついにラストの曲になる。

幸い他の3人に尿意は無く軽快に演奏をこなしているが佑香のスーツは先ほどのちびりから
さらに2〜3度ちびっているため客の目をごまかせるのも限界の濡れ具合。


佑香は考えた。


アンコール曲はほぼ確実に入る。なので今の曲で終わりじゃなくもう一曲分の時間を
予め覚悟しないといけない。じゃないと安堵で気が緩んでしまう…。




※アンコール!! ※アンコール!!



メグミ 「じゃあアンコールいっちゃうよ〜〜!! サマードライブ!!」


※わあ〜〜〜!! ※わあ〜〜〜〜!!




案の定アンコールはきた。残りおよそ4分弱!我慢しきれる!




佑香 「サマードライブ!! ご〜〜〜!!」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜オマケ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

SUMMER DRIVE

※Internet Explorerのみ視聴可能。
Google chromeでは聴けません。><

※音量調節不可ですので気を付けて下さいネ





作詞 作曲:染内 恵(メグミ)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



愛子のベースソロで始まる楽曲。次に重ねるギターのイントロで激しく弾く。


その衝撃がギターを通して下腹部を直撃した!!


※しゅわっ しゅしゅ… しゅっ…


佑香 (あああ!! あっ あっ…!!)



これはまずい!
さすがにかなりの量を「出して」しまった!!



その瞬間顔の温度が上がる。ぞわりとした感覚が全身を襲い、心臓が速くなった。





こんな人前で…!?


こんなにお客さんがいるのに…!?

















はぁ… はぁ…

私… もらしちゃうのかな…?




そんな最悪な場面が脳裏をよぎる。だがもう括約筋も長くは持たない。

ぽたりぽたりと…一滴ずつ、今もパンツに広がっているからだ。



佑香 (はぁ…! はぁ…!)



それでも練習の成果でミスる事無く、メンバーに迷惑かけることも無く演奏は完璧だった。


メグミ 「ありがとう〜〜〜〜!! 今日は楽しかったよ〜〜! またね!!」

美雪 「ありがとね〜〜〜〜っ!!」

愛子 「サンキュ〜〜〜!!」




佑香 「え……?」




一瞬記憶が飛んだのか…定かではないが

なんと曲が終わっていたのだ!


佑香 (あ… 終わった…んだ… よ…よかった…)


気が緩み今にも噴出してしまいそうなびっしょりなアソコ。
早くトイレに!!もう思考力はゼロであった…。

そして足早にステージを降りようとした佑香。




※………−ル…

※…………コール…


佑香 「……!」





まさかっ!!





そう、普段のライヴではとても嬉しい掛け声…!

でも今の佑香にとっては地獄の扉を開けてしまう掛け声…!






※………ンコール!


※……アンコール!!


※アンコーーール!! アンコーーール!!



植木 「アンコールゥ!!」

谷 「アンコールゥ!!」



佑香 「ちょっ…! ちょっと…!!!」



メグミ 「おおお〜〜〜っとぉ〜!? 2回目、いっちゃう〜〜〜!?」



佑香 (ああんっ!!メグミ〜〜!だめぇ〜〜!!)




悪夢の2回目のアンコールが始まってしまったのだ!!









もうだめだ…






もう…我慢… できない…









ステージの上でついにおもらしを披露しちゃうんだ…

あの時は… ルカが… 助けてくれたのに… ネ…









佑香は…



もう… 諦めた……








そして…全身の力が抜けようとした瞬間…







メグミの笑顔が見えた。


美雪の笑い声が聞こえた。


愛子の頑張りが目に映った…。




だめ…!!



こんなところでおもらしなんかして演奏を中止にしたらだめっ!!




3人の笑顔を消したらだめだっ!!





お客さんの笑顔を消したらだめだよっ!!





なんと佑香の気力が復活したのだ!!




括約筋に力をグッと入れおしっこをせき止める。そして気合で元の位置に戻る!


メグミ 「ゆかっち!美雪!愛子! いくよ!!」


佑香、美雪、愛子 「おお〜〜〜〜〜〜う!!」








蓮美 「レン、良かったわね〜…」


蓮昇 「ん…?何がだい…蓮姉」


蓮美 「あんないい子と知り合いになれたなんて…。本気で応援するよ、レン」


蓮昇 「…ありがとう。 なんだよ急に、照れるなぁ…」











時刻、20時20分。

ポテトチップ全てのプログラムが終了した。



楽屋で一息つく4人。


メグミ 「おつかれ〜!みんな! はぁ〜疲れたぁ♪」


美雪 「楽しかったね〜〜!」


愛子 「ゆかっちのギター今日も最高だったよ♪」


佑香 「えへへ〜ありがとう!♪ っと、ちょっとお手洗い行ってくるね〜」


無事ステージでのおもらしは免れた佑香。


本当は今すぐダッシュしてトイレに駆け込みたい状況なのだが
不思議と平然の表情。


メグミ 「あ、ゆかっち〜」

佑香 「う…うん…?」


※しゅっ…


メグミ 「機材とかステージ… ありがとうナ」

佑香 「え…? ううん〜いいよぅ〜 お父さんも喜んで提供してくれたから」


※じゅわっ……


メグミ 「そうか〜 諭吉さんにはいつもお世話になりっぱなしだなぁ〜… そう言えばあの時もさ…」

佑香 「あん… ご…ごめんね… お手洗い行く〜 後で話そうね」



メグミ 「ん? ああ、そうだったね ごめんごめん! いってらっしゃい!」







※スタ… スタ… スタ…

※しゅっ… じょっ… じょろろ…!



佑香は誰にも心配かけまいと悟られないように平然を装っていた。
だがもうせき止める事はほぼ不可能。会話中にも関わらずちびり続けていたのだ…。

そして見えなくなったところで足をさらに速めトイレに向かった。



佑香 「はぁはぁはぁ!! はぁはぁ…!」

佑香 (でちゃうでちゃう! もう出ちゃうっ!!)



※しゅわわっ しゅぅ〜〜… しゅしゅっ…!


ステージから離れ客の人ごみからも離れてトイレに向かう佑香だったが……




佑香 (あ…………………)




ライヴ成功の安堵がついに佑香のパンツを大洪水にさせた……





※しゅわっ…!!


※しょ〜〜〜〜〜〜…


※じょおお〜〜〜〜〜〜〜〜……!!


佑香 (………………)


あの苦しい我慢から開放された佑香…

その感覚はもう歩くことすらできなくさせて…



ガクリと崩れ落ちた…。01



佑香の吐息だけが聞こえそして排泄の音だけが
辺りに響き渡った…。


※びちゃびちゃびちゃ……


佑香 (はぁ………… は…ぁ…… は……ぁ…)


そして佑香特有の「おもらしの快感」が全身を覆い始めた…。


佑香 (………ん…)



うっすらと目を開ける佑香に「あるもの」が映り込む。



佑香 (………………………)



佑香 (………ん… あれ…?)




佑香 (………この……… 灯篭って………たしか……)





佑香 (………だめ……力が……入らない……)












※佑香ちゃん!



佑香 「!」



蓮美 「ゆ…佑香ちゃん…! 大丈夫…!?」


蓮昇 「ゆ…佑香さん…」


佑香 「……あ…… は…蓮美…お姉ちゃん……」



蓮美と蓮昇が偶然にも通りかかって誰よりも佑香の失禁現場を発見したのだ。

意識朦朧の佑香もかろうじて返事を返す。


蓮美 「レン。」

蓮昇 「う…うん」


あの時と同じように蓮昇を家に戻らせる蓮美。2度目のためか蓮昇もすんなり察した様子。

すぐさまその場を離れた。


蓮美 「さ、行こ、佑香ちゃん。 玄関はすぐそこだよ」

佑香 「は…はい… ご…ごめんなさい…」


だがまだ「出ている」様子の佑香。蓮美は無言で終わるのを待って
佑香背中を優しくなで続けた。

昔一度握ったことがあるような優しい手の感覚で
佑香は徐々に意識を取り戻した。

元々メンバー4人の労いのためにお風呂を沸かしておいた蓮美。

おもらしがバレないように玄関まで案内して、そしてお風呂場まで案内する。




※ギシリ… ギシリ…




佑香 「…………懐かしいですね…」


蓮美 「………え…?」


佑香 「二人きりで…きしんだ廊下歩くの…」

蓮美 「佑香ちゃん、もしかして記憶戻ったの…!?」


佑香 「え…記憶…? さぁ…それは…分からないですけど… なぜか…懐かしく感じました…」


蓮美 (あ… そうか… 記憶をなくしていること自体分かんないんだもんね…)

蓮美 「きっとお風呂見ても懐かしく思えるかもね、うふふ」




大人用の下着を用意する蓮美。そっとなでて蓮美は蓮昇の居る居間へと戻った。


全裸になりシャワーを浴びる佑香。汗とおしっこが熱いお湯で流されてゆく。

おもらしの後悔なのか、記憶が戻った懐かしさなのか

その熱いお湯には汗とおしっこと…、佑香の涙も混じっていた…。

そして…

シャワーを浴びながら… 佑香は残ったおしっこを…… 出した…。










※客席では……

植木 「いや〜……結構やるなぁ、あいつら。」

谷 「凄かったね〜 楽屋に差し入れ買って持っていってあげようか」

植木 「だね。とうもろこし買ってってやるか〜」











※違う客席では……

黄桜 「なかなかいい曲だったなー」

大自然 「なんだ、愛子ちゃんに会っていかないのか…?」

黄桜 「ん。 余計な気、使わなくていいよ」

肉太郎 「お、あっちに珍しいナスの一本漬け売ってるぞ。行こうぜ〜」

大自然 「まあナス食って元気出せ!行こうぜ〜!」

黄桜 「いや…別にヘコんでは無いけどな」










※楽屋では……

斬哲 「最高でしたッス! 愛子さん!」

愛子 「ありがとう〜 えっと…蓮昇さんのお兄さん〜」

メグミ 「あれあれ〜私たちにも労いわぁ〜? お兄さん〜!」

斬哲 「愛子さんが最高だったから愛子さんだけにだな〜」

斬哲 「その次に美雪さん!最高でしたッス!!」

メグミ 「は…? ちょ!? なにそれ! ひどくないっすか! 兄貴さん!」

美雪 「わぁ〜〜ありがとうね!お兄さん♪」

愛子 「あらぁ〜!?美雪のこと好きなんだぁ〜?私オマケかしら〜」

斬哲 「違いますよ!愛子さんが一番です!!」

愛子 「そぉ? まあウソでも信じちゃおっか、うふふ♪ ありがと」

斬哲 「ホントですよ!!」



















こうして潜龍寺ポテトチップ夏の陣ライヴは大成功を収めた。




誠哲目的の若者収穫、メグミ、佑香、美雪、愛子の音楽活動成功、
それぞれの夏休み、斬哲のちょっぴり芽生えた夏の恋の思い出、
そして蓮美、蓮昇、佑香の思わぬ再会。

おもらしをしてしまったが2度も第一発見で蓮美、蓮昇に助けられた佑香。


そんな佑香に徐々ではあるが、浮かび上がる懐かしくもある不思議な過去に

少しずつ…ほんの少しずつ…焙り出されたセピア色の写真が


彩を取り戻そうとしていた……。










リクエスト 7 掲示板ナンバー[058]
投稿者:ほろほろさん