正月で御端希家に帰る詩織。





そして今年は親戚の智花、桃花も御端希家に遊びにやって来る。



智花 「お姉ちゃん!久しぶり〜!」


桃花 「詩織お姉ちゃん、朋美お姉ちゃん 久しぶりです〜!」



詩織 「いらっしゃ〜い!」


朋美 「ゆっくりしていってね!」



御端希 智花(ともか) 14歳 双子の姉。

地元の中学校に通う中学3年生。ツインテールが特徴で元気が良く妹思い。クラスではわりと人気がある。



御端希 桃花(ももか) 14歳 双子の妹。

姉と同じく地元の中学校に通う3年生。姉よりちょっぴり恥かしがり屋。でも姉と同じく元気が良い。



そしてお互いもう一つ共通な事がある。






それは、






未だに「おもらし」「おねしょ」が治らないという事だ。








たまに揃う御端希一族。おせちや雑煮、お寿司にお酒(詩織用)。

距離が遠いためあまり頻繁に遊びに来れないが

詩織や朋美は本当の妹の様に、そして智花、桃花は本当の姉の様に4人とても仲が良かった。


詩織 「ハイ、智花の物件いただきぃ〜!」


智花 「あ〜〜!いじわる〜!」


桃花 「よ〜し!このカードで逆転だ!」


朋美 「わぁ!よくそんなカード出したね〜」



すごろくゲームなんかして楽しく時間を過ごす。






朋美 「桃ちゃん彼氏とかできた…?」


桃花 「ん〜… それ聞いちゃいます〜?」


智花 「実は相手に好きな人がいたんだって〜」


桃花 「こら!それは言わない約束でしょ!お姉ちゃん!」


詩織 「あらら〜… まあ次がんばればいいよ〜」


智花 「緑のお兄ちゃんとはどうなの?詩織お姉ちゃん」


詩織 「うっ…! それ…聞いちゃいますか…?」


詩織 「このこのこの〜 バツとしてビール一口飲みなさい〜〜〜!」



智花 桃花 「わぁ!ビールだめですっ! 苦い〜〜!」



美味しい料理を食べながら会話も弾む4人。








そして楽しい時間もあっと言う間に過ぎ、夜も更けていく……







寝る場所は朋美の部屋。

ベッドもあるがあえて布団を敷き4人で仲良く寝る。

先に風呂に入った智花、桃花が朋美の部屋で少し内緒話をし始めた。


智花 「ねぇ、桃花。 アレ…持ってきてる…?」


桃花 「うん…一応ネ。 でも詩織お姉ちゃんや朋美お姉ちゃんにはまだ話していないよ…」


智花 「う〜〜ん… 智花、ここ4〜5日平気だったんだ」


桃花 「うん、桃もそのくらいしなかったよ。 でも…… 一応履く…?念のため」


智花 「…………いや…、 大丈夫だよきっと! 今日もしないって!」




未だにおねしょが治らない二人は今夜の睡眠時にオムツを履くか履かないかの相談をしていた。

これは夜尿症の人にとってかなりの重要な問題点である。



まだ小学生ならまだしももう中学3年生の二人。

いくら仲が良い親戚でもさすがに打ち明けるのにはためらいがある。

詩織や朋美にすごく会いたい反面これだけが智花、桃花の悩みのタネだった。





詩織 「ふぅ〜〜〜!いい湯だったぁ〜」


風呂から上がり部屋に戻ってきた詩織。ちょうどそんな時、

下で料理の後片付けをしていた朋美も部屋に戻ってきた。


朋美 「ふぅ、終わった終わった。 さて、寝る準備しよっか」


智花 「あ、智花おトイレ行ってくるね!」


桃花 「あ、桃もいく〜!」



念には念を入れて就寝直前にトイレを済ませる。

オムツ着用を選択しなかった二人は

これでもかと言うほど膀胱のおしっこを「カラ」にして戻ってきた。





詩織 「さて、寝ますか」





遊び疲れであっと言う間に4人は熟睡した……。

















チュンチュン! チュン……




小鳥のさえずりで目が覚める智花と桃花。





だが…、





一番恐れていたことが…。







この二人を現実へと呼び戻した…。






智花 桃花 「あっ……!!!」 01




なんと!

まさか二人揃っておねしょをしてしまったのだ!!




智花 「あ…… あ………」


桃花 「や…やだ… ちょっと… ど…ど…どうし…」



と、その時



朋美が目を覚ました。


朋美 「あ… おはよ… 智ちゃん、桃ちゃん… 起きてたんだ…?」


だが間髪入れずに姉の智花が先に謝り出した。


智花 「ごめんなさい!朋美お姉ちゃん! あの…その…」


桃花 「…………………」


顔を真っ赤にして涙ぐむ桃花。


朋美 「わっ どしたの…!?」


智花 「うっ… うっ… ごめんな…さい〜… こんな…はずじゃ…」


朋美 「…!」


朋美が振り向いたその先には二人がおねしょをした大きなシミが写り込んだ。


朋美 「………………………」


桃花 「朋美お姉ちゃん… ごめんなさい………」


朋美 「………………ん…」



数十秒ほど無言な時間が流れたと思ったら朋美が口を開いた。



朋美 「大丈夫だよ! 二人とも」



ちょっぴり顔を赤らめた朋美の口から驚きの言葉が出た。






朋美 「お姉ちゃんもおねしょ…しちゃった♪」 02





智花 桃花 「……えっ…!?」



そう告げると朋美は自らの布団をめくり

なんと、大きな立派なおねしょの「シミ」を二人に見せた。


朋美 「ネ! だからもう大丈夫だヨ〜 きっと夕べの詩織のお酒のせいだよ!」





あまりの意外な光景にちょっぴり驚きを隠せない智花と桃花。





朋美お姉ちゃんもおねしょするんだ…

そんな気持ちが二人をどことなく安心させたのか、二人はなぜか朋美に抱きついた。


朋美 「さて、当の本人はまだバクスイ中みたいだし」


朋美 「今のうちに着替えてお風呂に入ろっか! ネ」



智花 桃花 「うん!」




二人が本当の妹のようですごく可愛い智花と桃花。

そんな二人のおねしょという乙女の大失態を朋美は…



なんと、



自らのおしっこで擬似おねしょを作り二人を安心させたのだ。




実は智花と桃花のおねしょグセは詩織も朋美も知っていた。

たぶん詩織が先に起きていても同じ事をしていただろう……。


詩織 「ぐ〜〜〜… ぐ〜〜〜〜…」




お昼過ぎ、詩織と朋美は駅まで見送る。

新幹線の閉まったドアの向こうで涙ながらに笑顔で手を振る智花と桃花。

そんな素敵な笑顔を電車が見えなくなるまで見届けた二人でした。