今年もやってきた春の市民マラソン。

参加人数約200人。市民限定参加のイベントである。



毎年参加をしている志乃は今回も参戦。そして前回の優勝者麻衣ももちろん参戦する。

健康的に走れることに意義がある。志乃のモットーだが今回は少しばかり違う。

スポーツに関しては自信のある志乃、中学時代の先輩だった事もあり悔しくないといえば嘘になる。

元々優勝賞品目当ての麻衣だったが勝負を挑まれたら話は別。



元先輩のスポーツ魂のプライドをかけた志乃、勝負事には最強の負けず嫌いを誇る麻衣。





こうして志乃vs麻衣のマラソン対決は再び幕を開けた!






※ 「では位置について〜〜……」


志乃 「さあて、麻衣。 本気でこないと怒るからね」


麻衣 「やだな〜先輩、それ私のセリフですよ〜」


出走合図と共に皆一斉に走り出す。


序盤、お互いいいペース。トップ集団に混じり二人とも互角の戦いを続けている。


志乃 「はっ はっ はっ ……」


麻衣 「ふっ ふっ ふっ ……」


だが先に異変が起きたのは……………… 麻衣の方だった!


麻衣 「ふっ ふっ…… !! (あれ…!?)」


足が交差して走る中、下腹部に違和感を覚えた麻衣はとっさに自分の下腹部に視線を送った。


麻衣 (あれ…!? やだっ…! ちょっと……! なんでこんな時にっ!!)


そして数分遅れで志乃にも同じく異変が訪れた。


志乃 (ちょっ… まさか…… 冗談でしょ…? はっ… はっ…)



まさに絵に描いたようなダブルタイミングでの尿意発動!ランナーにとって痛恨の一撃である!

せっかくの呼吸法も瞬く間に乱れ始める二人。急激に減り始めるスタミナでお互いのリズムも狂い始めた。


志乃 (まずい事になったな〜…)


その間に麻衣が一歩リード!志乃を抜き去り前方でリードをキープした。


志乃 「っく…!」


麻衣 「はぁ… はぁ… お先に…! 先輩!」






もちろんトイレ厳禁ではない。いつでも好きな時に各ポイントにある仮設トイレへ行くことができる。

だが仮設トイレを見つけて急いで用を足しても2分前後、その差で300m以上の差をつけられてしまう!

トイレでの時間ロスはお互いに絶対に避けたい。意地でも我慢を貫き通したいところである。


志乃 「はぁっ… はぁっ… はぁっ……」


麻衣 「ふぅっ… ふぅっ… ふぅっ……」


志乃の尿意が引いたのか麻衣に並ぶ。そして少しばかり力を振り絞り麻衣の前方へと躍り出た。



志乃 「麻衣! どうしたのっ スタミナ落ちてるよ! はぁ… はぁ…」


麻衣 「くぅっ…! はぁ… はぁ…! コレ(尿意)さえなかったら…」




額と内股に嫌な汗が出る。

限界が近づくも二人の我慢の意地はなおも続く。




だが再び麻衣にリードを許した志乃はこんなことを考えていた…。



志乃 (はぁ! はぁ! …… これ…最後まで我慢できないかも〜!!)








そう、先に志乃の方が自分の限界を悟り始める。が、やはり限界の限界まで我慢したい!



俄然として二人はトップ集団をキープしているが志乃がさらに遅れを見せ始めた。

それに気付く麻衣。だがその麻衣も自分の限界値を感じ始めていた。

アソコに手を当てて我慢しながら走ればイケそうな気がしないでもないができるわけがないのはお互い承知。



折り返し地点を過ぎ後半戦も終盤の中、志乃はついに覚悟を決めた!


志乃 「はあっ!! はあっ!! だっだめ!! もれちゃう!!」


志乃はついに仮設トイレを探し始めた!

その瞬間麻衣と並びあっと言う間に抜き去ったのだ!!


麻衣 「…えぇっ!? な…なんでっ!? はぁ… はぁ…」


突然の志乃の快走に驚く麻衣!その反動でおしっこが少しもれてしまう!


麻衣 「 あっ! やばっ…!!」


変な体勢で我慢を凌いだせいか身体のバランスが崩れ一気にペースがダウンした麻衣。


だが次の瞬間志乃はコースを思いっきり外れ茂みの方へと走り出した。


麻衣 「あ… あれ…? はぁ… はぁ… はぁ…」


志乃 「もれちゃう〜〜!! トイレどこぉ〜〜!?? はあっ! はあっ!」



懸命に仮設トイレを探す志乃。たしかに仮設トイレ有りのマークを見たはずだが一向に見当たらない!


志乃 「だめっ! だめっ! 出ちゃうっ!」


もう探す時間など無かった。もう限界を超えた我慢の限界だった。

幸い辺りは茂みが多い場所。もう探す事を諦めた志乃はなんと茂みでの用足しを選択!

ガサガサとティッシュも持たないまま入っていく。










麻衣 「あっ…! あっ…!」


先ほどの「ちびり」が引き金となったのか、もう思いっきり括約筋に力を入れているはずが

徐々にもれ始めている麻衣。そのシミはどんどん大きくなるばかり。


麻衣 (やだっ…! 勝手に出ちゃうよっ! もう少しだけ耐えてっ! はぁっ! はぁっ!)


※じゅうっ!  しゅるるっ!


だがそんな願いも空しく一筋、二筋とふとももに伝うおしっこ。

走っているせいか他のランナーには気付かれにくいのが幸いだが
オマタのシミを見られたらさすがにごまかしは効かないだろう。

もうすでに志乃の姿は見えずこのまま完走してしまえば優勝はともかくとして志乃との勝負には勝利できる。

だがもう完走後に全てのおしっこを出し切った自分の姿しか想像できない麻衣。

さすがに市民放送で中継しているマラソンでおもらし姿を披露するわけにもいかず
百戦錬磨の麻衣もついに仮設トイレを探し始めた。


先輩より早くおしっこ終わってゴールすれば…! まだ捨てていない勝負魂がちょっぴり涙ぐましい。


だが麻衣も同じく限界の限界を超えた我慢、トイレに辿り着く前に決壊し始める。


運よく人の見えない場所であったためその場にしゃがみ込んでズボンを下ろした!











放尿を決意した志乃はズボンに手を掛け下ろそうとした瞬間、なんと仮設トイレが目に入った!


志乃 「あ〜〜〜〜っ!! あったぁ〜〜!!!」


今にも出そうなおしっこ、むしろ出掛かっていたおしっこを最後の力でせき止め急いでトイレへ駆け込んだ!

だがそこで悪夢の光景を見た!

なんとなぜか男性用の小便器しかないのだ!


志乃 「ちょっ! ちょっとぉ〜〜!! なんなのよこれ〜〜〜!!」


どう見てもその狭い空間には男性小便器が一つだけぽつんと。他に探しようが無いほどのシンプル構造。

設計ミスなのか、または元々男性用のトイレだったのか、もうそんな事はどうでもよかった。


男性小便器で用を足す!


そんな選択に数秒もかからなかった。







志乃 「あっ…!!  あぁっ……!!」 01



前回絵 02



男性便器に激しく放出されるおしっこ。

その勢いと共に響き渡る音。

反響効果もありその音は外からでも容易に聞き取ることができた。

志乃 「くうっ…!   んっく…!  はっ 早く終わって〜〜!!」
















そして麻衣も…



麻衣 「もうだめっ! ここでしちゃう!!」 02




あまりの「ちびり」のためパンツはおろかズボンにまでびっしょりのシミを作った麻衣。

誰が見ても100%粗相をしたとバレる状況。まさかノーパンで走るわけにも行かず

麻衣には珍しい「棄権」を選択、勝敗は泣く泣く負け選び逃げるようにその場を後にした。









そして志乃は…

これでもかというほどの恥辱を味わった志乃、その後コースに戻り無事完走する。






今年の春の市民マラソン。

優勝者:一般男性


なんとか麻衣との勝負に勝利した志乃。先輩のプライドとスポーツ魂の勝利で一息。 

来年は志乃と麻衣と一般男性の勝負が繰り広げられるかもしれない。